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資産縮小「年内が適切」FOMC議事要旨

3月会合、株高に警戒感も

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は5日、3カ月ぶりの利上げを決めた3月14~15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。2008年以降の量的緩和で買い入れた保有資産の縮小について初めて本格議論し、参加者の大半が「年内の縮小開始が適切だ」と判断した。米国の株価動向には数人の参加者が過熱感を指摘したことも分かった。

3月のFOMCでは昨年12月以来の利上げを決断した。議事要旨ではイエレン議長ら会合参加者17人のほぼ全員が「米経済は完全雇用の状態だ」と評価し、先行きも緩やかな利上げが適切だと指摘した。

同日の会合では保有資産の縮小を巡って本格議論した。FRBは金融危機後の量的緩和で長期国債などを大量に買い上げ、資産規模が4兆5千億ドルに膨らんでいる。量的緩和終了後も、満期を迎えた保有債券に再投資して資産規模を維持してきた。ただ、金利が上昇すれば含み損が出るため、利上げが軌道に乗れば再投資を止めて資産を圧縮するとしてきた。

FOMCでは参加者の大半が「再投資政策の変更は年内が適切だろう」と判断。資産圧縮の方法などを今後詰めて公表する方針を確認した。保有債券を市場に直接売却すれば影響が大きいため、FRBは満期まで持ち切って徐々に償還する考えをすでに表明している。今回の会合では再投資を一度に止めれば長期金利の上昇リスクを招くため、段階的に縮小する案も検討した。

FRBの資産縮小は、08年以降の金融危機対応の完全終結を意味する。ただ、市場には利上げとの二重の引き締め圧力となり、相場への影響は大きい。FRBは「年内にさらに2回の利上げが適切だ」(フィッシャー副議長)としており、市場では6月と9月に利上げして、12月に資産縮小を開始するとの観測が浮かんでいる。

FOMCでは金融市場の現状についても議論した。ダウ工業株30種平均が2万ドルの大台を突破した株価について、数人の参加者が「標準的な評価手法と比べかなり高い」と警戒感を示した。商業不動産なども「数カ月でかなり値上がりした」と指摘し、FRB内で市況の過熱感を不安視する声が上がり始めている。

トランプ政権が公約する大型減税やインフラ投資は「時期や形態の不確実性が大きい」と強調した。数人の参加者は「本格的な財政刺激策は18年まで始まらないだろう」と政策が後ずれする可能性を指摘した。物価上昇率は財政刺激策に左右されるため、FRBはトランプ政権と米議会の政策協議を注視している。

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