米ブリストル、「オプジーボ」幅広い肺がんに効果確認できず
【ニューヨーク=西邨紘子】米製薬大手ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)は5日、抗がん剤「オプジーボ」がより幅広い肺がん患者の治療に効果があるか調べる臨床試験(治験)が失敗したと発表した。適応の拡大は難しく、肺がん患者向けの同薬の市場規模が従来予想を下回る見通しとなったため、BMSの株価は急落した。
オプジーボは免疫の仕組みを利用した新しいタイプの抗がん剤。小野薬品工業とBMSが共同開発し、これまでに日米で悪性の皮膚がんや一部の肺がん患者への使用で承認を受けている。
BMSが米国で承認を受けている肺がんでの適応は、化学療法の治療歴がある患者に限られていた。今回、BMSが結果を公表した治験は、化学療法に代わる選択肢としてオプジーボの有効性を調べるものだったが、がんの進行を抑え死亡リスクを有意に低減させる目的で、化学療法と比べた有効性を示せなかった。BMSは今後、治験結果を詳細に分析するとしている。
5日の米株式市場でBMSの株価は前日終値に比べ16%下落した。一方、オプジーボのライバル薬を持つ米メルクの株価は1割上昇した。
市場予測によると、2016年にBMSのオプジーボ売上高は最大で34億ドル規模になるとみられる。肺がんで化学療法に代わる治療の選択肢となった場合の売り上げ規模は21年までに年120億ドルになるとされる。
米エバーコアISIのアナリスト、マーク・ショーンバウム氏は、今回の治験結果が長期でBMSのオプジーボ売上高を「(年間で)40億~45億ドル押し下げる可能性がある」とコメントした。
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