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利上げ巡り気迷い 米雇用統計、割れた市場反応

【ニューヨーク=大塚節雄】米連邦準備理事会(FRB)による9月利上げの是非を巡り、最大の注目材料とされていた8月の米雇用統計。事前予想を下回った結果に、市場の反応は割れた。「9月」の観測はやや後退する一方で「年内」への意識が強まったことが背景にありそうだが、市場の見方は固まっていない。20~21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まで、市場関係者の悩ましい日々が続きそうだ。

2日午前8時半。雇用者数の増加が15万1000人と市場予想(18万人程度)を割り込んだ8月の米雇用統計の結果を見て、各市場の反応は割れた。緩和長期化と踏んだ株式相場は上昇した半面、債券市場と外国為替市場では利上げを意識する形で米長期金利が上昇(債券価格が下落)し、円安・ドル高が進んだ。

直後の反応はわかりやすいものだった。ダウ工業株30種平均の寄り付き前、同先物に上昇圧力がかかり、一時、発表前に比べ約60ドル高い水準となった。長期金利は急速に低下。外為市場では円買い・ドル売りが先行し、一時一ドル=102円台後半をつけた。どれも「9月利上げは遠のいた」との判断からだった。

問題はその後。ダウ平均は高く始まり、上昇幅は一時120ドルを超えるなど株高が持続。これに対し、長期金利には上昇圧力がかかり、米10年物国債利回りは1.5%台前半から1.6%台まで急速に上昇。これをみて円相場は一気に下げに転じ、一時104円台前半と約1カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけた。

利上げ観測を巡る株式市場と債券・外為市場の「ねじれ」。強引に理屈をつけるとすれば、雇用統計が市場予想を下回ったことで「9月利上げの決め手にはならなかった」一方、雇用の改善自体は続いていることがはっきりしたため「年内の利上げは一段と無視できない線になった」という市場の微妙な受け止めを映したといえる。つまり前者が強く出たのが株式市場、後者が債券・外為市場と解釈すれば、一応の整合性はとれる。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが米金利先物市場での織り込み度合いから計算した「利上げの確率」をみると、9月利上げの確率は21%程度とわずかに前日から低下。逆に、年内の利上げは約54%とわずかに上昇した。

FRBのイエレン議長やフィッシャー副議長が8月下旬にワイオミング州で開いたジャクソンホール会議で利上げに前向きな発言をして以降、とくに株式市場では目先の「9月の有無」が焦点となり、上値が重くなっていた。9月利上げの可能性が低くなったとの受け止めは株高要因となる。

債券市場はやや複雑だ。同じ米国債でも、2年債利回りは発表後の上昇の勢いは鈍く、発表前後でほぼ同じ水準にとどまった。9月の利上げ観測の後退を強く反映した形だ。より長い期間の取引となる10年債利回りは、発表前よりも高い水準まで上昇。年内利上げを覚悟する見方が強く反映したとみることもできる。

10年債については、債券需給面の動きが強く出たとの声も多い。社債の大量発行を控え、米国市場の連休前(5日=月曜日=はレーバーデーで祝日)に持ち高を整理しようという動きがあったという。日米金利差拡大の観測を背景にした円安・ドル高の流れは、米長期債の一時的な需給要因にひきずられたという側面も無視はできない。

いずれにせよ、すっきりしない市場反応は、利上げを巡る気迷いの証左でもある。米ゴールドマン・サックスのチーフエコノミスト、ヤン・ハチウス氏は9月利上げの確率を40%から55%に引き上げた。FRBの利上げに向けた積極姿勢を踏まえてのことだ。来週以降のFRB高官らの発言内容によっては、9月の利上げを巡り市場が大きく揺れる可能性もある。

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