【ワシントン=川合智之】米上院本会議は1日、トランプ大統領が国務長官に指名した米石油メジャー最大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン前最高経営責任者(CEO、64)を賛成56、反対43で承認した。議会で承認を得た閣僚級候補は6人目。「米国第一」を掲げるトランプ政権の外交の司令塔となり、ロシアとの関係改善や中東問題に取り組むことになる。
米メディアによると、反対43票は過去の国務長官承認で最多。民主党議員の大半が反対した。前任のケリー氏の承認時には反対3票、クリントン氏は2票だった。
同氏はビジネスを通じてロシアのプーチン大統領と親交が深いことで知られる。対ロ強硬派が多い共和党内から懸念の声が出ていたが、指名承認公聴会でティラーソン氏は「現在のロシアは脅威だ」などと指摘した。
中国に対しては南シナ海の人工島造成を「違法」と指摘。沖縄県・尖閣諸島に中国が侵攻した場合は「合意に従って対応する」と、日米安全保障条約の適用対象になるという従来の米政府の見解を維持した。
ティラーソン氏は1975年の旧エクソン入社以来、同社一筋で石油開発に携わってきた。外交や公職経験のない国務長官は珍しい。