アフガン首都で爆弾テロ、死者90人に 400人以上負傷 - 日本経済新聞
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アフガン首都で爆弾テロ、死者90人に 400人以上負傷

(更新)

【ニューデリー=黒沼勇史】アフガニスタンの首都カブール中心部の大使館街で31日朝、爆発物を積んだ大型車が爆発を起こした。自爆テロとみられ、少なくとも90人が死亡し、400人以上が負傷した。現場は大統領府にも近く、警備が比較的厳しいとされてきた。反政府勢力の攻勢でアフガン政府の支配地域が縮小するなか、治安回復は難しさを増している。

爆発はドイツ大使館付近の大通りで、各国の大使館職員らの通勤時間に起きた。飲料水の運搬車を装って爆発物を積み込んだ大型車が爆発したもようで、付近を走行中だった数十台の自動車も大破した。アフガンのガニ大統領は「残酷で卑劣な攻撃の犠牲者を悼む」と非難した。

ドイツ外務省によると、独大使館の警備に当たっていたアフガニスタン人1人が死亡した。日本大使館の窓ガラスも割れた。菅義偉官房長官は同日の記者会見で「日本人職員2人が切り傷程度の軽傷を負った」と述べた。在留邦人に大きな被害は出ていないという。

犯行声明は同日夜(現地時間)時点で出ていない。アフガンの反政府武装勢力タリバンは声明で「標的のない場所での爆発をムジャヒディン(イスラム聖戦士)に許可していない」と関与を否定した。だがカブール在住の政治アナリスト、ナザル・ムトゥマイン氏は「車両が大使館街に入るには通行許可が必要で、(政府内に内通者を抱える)タリバンの関与はなお否定できない」と話した。

アフガンではタリバンのほか、タリバンの一派で好戦派のハッカニ・グループや、中東の過激派組織「イスラム国」(IS)になびく武装勢力がこれまでテロを繰り返してきた。4月にはISの潜伏地を狙って、米軍が大規模爆風爆弾(MOAB)を投下している。

米政府のアフガニスタン再建特別監査官室(SIGAR)が4月末に公表した報告書によると、アフガンの全407地区のうち政府支配が及ぶ割合は今年2月時点で60%となり、1年で11%縮小した。武装勢力による支配が確立している地域は11%と1年で約2倍に広がった。政府側の劣勢が目立ち、大使館街の出入りを監視する警備兵にも統率の乱れが生じている可能性がある。

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