インド成長率7.1% 投資縮小響き低水準
4~6月

2016/8/31 23:45
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【ニューデリー=黒沼勇史】インド景気が足踏みしている。政府が8月31日発表した4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比で7.1%となった。消費がけん引し7%台は維持したものの、設備投資が縮小し、成長率は5四半期ぶりの低い水準にとどまった。不良債権が積み上がり銀行が貸し渋る一方、製造業は設備稼働率が依然低く、新規投資に踏み切れないでいる。

インドでは企業の生産活動が伸び悩んでいる(ニューデリー郊外にある自動車関連の工場)=ロイター

インドでは企業の生産活動が伸び悩んでいる(ニューデリー郊外にある自動車関連の工場)=ロイター

他の新興国では中国の成長率が4~6月期に6.7%、フィリピンが7%、インドネシアが5.2%。インドの7.1%は決して低成長ではない。ただ、7.9%だった1~3月期実績からの減速感は否めず、エコノミストらによる4~6月期の事前予想(7.6%)を下回った。官民の消費・投資の合計である「内需」の成長率は3.9%となり、1~3月期と同様に低水準にとどまる。

今回の伸び悩みの最大の要因は、GDP全体の3割を占め、官民の設備投資の合計である「総固定資本形成」が、前年同期比で3%減少したこと。2年ぶりのマイナスを記録した1~3月期(2%減)より悪化した。

これは主に民間企業による投資が伸び悩んでいることを映し出している。設備過剰と銀行の貸し渋りの2点が原因だ。

民間調査機関のインド経済モニタリングセンター(CMIE)によると、製造業全体の設備稼働率は直近で73%で、少なくとも5年連続で低下している。製鉄(53%)、セメント生産(64%)などインフラ関連だけでなく、乗用車(63%)、製紙(55%)など設備過剰は広範囲に及ぶ。

銀行の貸し渋り状態も顕著になってきた。インド準備銀行(中央銀行)は30日、6月の銀行貸し出しが前年同月比で9%増にとどまったと公表した。モディ政権誕生直前の2013年度までの15%以上と比べ大幅に鈍化している。15年3月に3兆ルピー(約4兆6千億円)だった銀行全体の不良債権が今年3月には5兆4千億ルピーへと積み上がり、財務悪化を恐れる銀行が融資を細らせている。

一方で個人消費は依然として堅調だ。4~6月の消費の伸びは前年同期比で7%増となり、1年以上7~8%程度の伸びを維持している。

消費のけん引役だった都市部に加え、農村部も回復しつつある。農村消費の代表格トラクターの国内販売は4~6月に前年同期比15%増の16万台だった。2ケタ増は9四半期ぶり、販売台数も8四半期ぶりの規模を取り戻した。15年度まで2年連続の干ばつが響きトラクター販売も2年連続で前年度比10%超減少したが息を吹き返している。

国際会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツのインド法人が外資を含む企業の最高財務責任者(CFO)300人超に聞き取りした調査では、回答者の58%が「今後1年で設備投資を増やす」と表明した。「投資サイクルの回復の芽吹きがみられる」(同事務所)と分析する。企業の景況感や銀行の融資姿勢の改善で、設備投資がプラスに転じるかが、インド景気の先行きを占う当面の指標になりそうだ。

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