ベネズエラ、強権へ新憲法 大統領派が議会選で「勝利」

2017/8/1 0:36
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【サンパウロ=外山尚之】南米ベネズエラで制憲議会選挙が7月30日に即日開票され、マドゥロ大統領は同日、憲法改正に向け国民の承認が得られたと勝利宣言した。一方、結果を受け、マドゥロ政権に批判的な米国は追加制裁を予告。ベネズエラ唯一の収入源である石油産業への制裁も選択肢に入っているとされており、さらなる混乱が避けられない情勢だ。

7月30日夜、支持者らを前に演説するベネズエラのマドゥロ大統領(中央)=ロイター

選挙管理委員会の発表によると、与党の統一社会党が全545議席を獲得。投票率は約42%で、800万人以上が投票したという。強権体制の構築へ今回の選挙を仕掛けたマドゥロ大統領(同党党首)は31日未明、首都カラカスで支持者の前に姿を現し「我々の選挙史上最大の投票だ」と正当性を誇示。同党のカベジョ副党首は31日「制憲議会はすぐ始動する」と述べ、速やかに改憲手続きに入る意向を示した。

一方、ボイコットを呼びかけていた野党勢力は結果を認めていない。野党指導者のカプリレス氏は30日午後の記者会見で「制憲議会は国が抱える問題を解決しない」と述べ、改めて国民に対して政府への抗議活動を呼びかけた。

米国務省は30日夜に声明を発表し、「制憲議会は法律で選ばれた議会とベネズエラ国民の自治権を傷つける」とした上で、「ベネズエラの独裁体制に対し、強固で迅速な行動を継続する」と追加の経済制裁を予告した。

ロイター通信は米政権関係者の話として、追加制裁案は早ければ31日にも発表されると伝える。最も厳しい措置である、ベネズエラ産の原油禁輸は選択肢に含まれていないものの、石油関連の経済活動の制限や政府高官への追加制裁が検討されているという。

スペイン国営通信EFEによると、カナダやアルゼンチン、ブラジルなど12カ国が30日までに今回の制憲議会を認めないという声明を発表した。ペルー政府は30日、周辺国を中心に各国の外相を集める緊急会議を招集すると発表した。会議は8月8日に予定されており、ベネズエラ政府への対応について話し合う。

欧州連合(EU)の欧州委員会は31日、声明で警官隊による暴力を非難し、「暴力的な環境で選ばれた制憲議会は解決の手段になり得ない」と同議会の正統性を否定。ロイター通信によると、欧州議会のタヤーニ議長も「我々は今回の選挙を承認しない」と述べた。

喫緊の課題となりつつあるのがベネズエラからの難民流出問題だ。既にコロンビアやブラジルの国境にはベネズエラ人難民が大量に押し寄せており、一層の増加が予想される。

制憲議会 憲法改正を目的とした臨時の立法機関で、民主的な手続きを経て選ばれた議会の無効化を含む強い権限を持つ。候補者は政府の影響下にある選挙管理委員会が選定するため、政府の意図に沿った恣意的な運用が可能になる。
 前回は反米左派のチャベス前大統領が1999年に招集した。この際は設置の是非を問う国民投票を行ったが、マドゥロ大統領は今回、こうした憲法上の手続きを無視している。独裁化につながるとして国内外から非難されている。
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