「中国の挑発停止が条件」 比外相、南シナ海協議巡り

2016/8/31 0:03
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【マニラ=秋田浩之】フィリピンのヤサイ外相は、南シナ海の領有権問題をめぐる中国との2国間協議について、中国が挑発をやめることが交渉入りの条件になるとの立場を明らかにした。南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)で埋め立てをしないことも条件になるという。フィリピン政府高官が2国間協議の具体的な条件を明らかにするのは初めて。

29~30日に首都マニラで開かれた民間対話「日本・アセアン・メディアフォーラム」(国際交流基金主催)の参加者との会見で語った。ヤサイ外相は具体的な条件として、(1)南シナ海のスカボロー礁で埋め立てをしない(2)同礁周辺でのフィリピン漁民への妨害行為をやめる――ことなどを挙げた。

国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は7月、中国の主張を全面的に退ける判決を下したが、中国は受け入れを拒んでいる。ヤサイ外相は「フィリピンは中国に対し、判決を尊重するよう求めてきた」と指摘。協議の前提条件として中国から判決棚上げを要求されても、同意しない姿勢を示した。

そのうえで「協議を進める前に、(中国側が)信頼醸成のための措置をとるよう望みたい。話し合いを続ける以上、挑発行為は一切、すべきではない」と主張した。

特に、スカボロー礁の埋め立ては「米国も、越えてはならない一線だと考えている」と語り、協議の前提になるとの認識を示した。

同岩礁周辺で中国がフィリピン漁民の活動を妨害している問題でも「信頼醸成措置の一環として、我が国の漁民が戻れるようにしてもらいたい」と求めた。

一方で、2国間協議では「中国がメンツを保てる機会を与えることが大事だ」とも説明。そのための最善の策は、経済や貿易、観光などの分野で中国との関係強化を進めることだと強調した。

その理由としては「中国との関係において、南シナ海紛争はごく小さな側面にすぎない。中国との関係を強めることはできるし、それが世界の平和と安定に大きく貢献する」と力説した。

仲裁裁判所は判決で、中国の南シナ海での人工島造成や、フィリピン漁民の妨害が違法だと認定した。だが中国はこの判決を受け入れない姿勢を貫き、スカボロー礁近海ではいまも妨害が続いている。6月末に就任したドゥテルテ大統領はフィリピン人の漁業権の確保を優先しており、2国間協議で現状を打開する狙いがある。

ドゥテルテ大統領は協議に向けて、中国とパイプを持つラモス元大統領を特使として派遣するなどして調整しており、開催時期について「今年中にも」と述べている。

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