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トランプ氏、空調大手のメキシコ移転阻止

1000人の雇用維持

【ニューヨーク=中西豊紀】雇用を守るために企業への「口撃」も辞さないトランプ次期米大統領の政治手法が実を結びつつある。空調大手の米キヤリアは29日、メキシコへの生産移転が予定されていた米インディアナ州で約1000人の雇用を維持することでトランプ氏らと合意したと発表した。民間企業の投資計画が政治介入で覆るのは米国では極めて異例だ。

ワシントンで2016年にオープンしたトランプ・インターナショナル・ホテル

キヤリアはツイートを通じて「トランプ次期大統領とペンス次期副大統領と合意に至った」と発表した。トランプ氏も「木曜日(12月1日)に私がインディアナ州に行って発表する。同州と地元の偉大な労働者にとって大きな日になる。キヤリアには感謝する」とツイートした。

トランプ氏はキヤリアが2月に発表したインディアナ州からメキシコへの生産移転を選挙中から批判しており、24日も同社の名前をあげながら移転を阻止する方針をツイートしていた。キヤリアの計画ではインディアナ州の工場は閉鎖となり、約1400人の雇用が犠牲になるとされていた。

複数の米報道によると、インディアナ州知事でもあるペンス氏とキヤリアの親会社で航空機・機械大手のユナイテッド・テクノロジーズのグレッグ・ヘイズ最高経営責任者(CEO)が水面下で交渉したもよう。キヤリアは雇用を維持する見返りに州から経済支援を得ると見られている。

メキシコへの移転を白紙にしたのか、新たな生産をインディアナ州で始めて雇用を創出するのかなど、詳細についてはキヤリアは明らかにしていない。ただ、トランプ氏の政治介入によって当初の計画が見直されたことは確かで、自由主義を原則とする米国では例がない展開となっている。

トランプ氏にとって今回の合意は同氏を当選に導いた中西部などの労働者らによる支持基盤を固める上で強いメッセージとなる。同氏は29日のツイートでも「我々は企業と仕事を米国に残していく」と選挙中からの公約を改めて記した。

キヤリアが計画を見直した理由については、ユナイテッド・テクノロジーズが同社の軍用機事業で政府側の取引停止など報復を恐れたとの米報道もある。メキシコにはフォード・モーターなど自動車を中心に米製造業が数多く進出しており、今回の合意を契機にこれら企業への政治介入が進む可能性もありそうだ。

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