APEC金融市場統合、9月に工程表提案 比財務相
【マニラ=菊池友美】アジア太平洋経済協力会議(APEC)の議長国であるフィリピンのプリシマ財務相は30日、外貨取引の自由化や海外からの直接投資の規制緩和を柱とする金融・資本市場の統合に向けた工程表を9月にセブ島で開くAPEC財務相会合で「セブ・アクション・プラン」として提案する考えを示した。
30日、マニラで日本経済新聞社と日経グループアジア本社が開いた「Nikkei Asian Review(NAR)フォーラム」の基調講演で明らかにした。工程表には「各国資本取引の自由化が含まれる」と語った。
詳細は9月の財務相会合に向けて詰めるが、中国や東南アジアを含む加盟国が取り組む課題や予定を明示し、投融資の活性化を狙う。インフラ投資の促進や災害時の金融危機管理の体制づくりも柱になる。資本の自由化では取引の許可制や届け出制の見直し、為替業務の自由化などが焦点だ。今後10年以内を目標に、企業の情報開示ルールの統一も検討する。
プリシマ氏は「(統合は)一朝一夕では実現しない」としつつ、「サプライチェーン構築などに向け、企業が資金調達しやすい環境の整備が不可欠だ」と強調した。