英スパイ小説家、秘密情報局と協力関係に 英紙報道
【ロンドン=共同】英紙サンデー・タイムズは30日、スパイ小説の第一人者として知られる作家のフレデリック・フォーサイス氏と英秘密情報局(MI6)が、20年以上にわたって情報交換などを通じて協力関係にあったと報じた。
フォーサイス氏は1971年、フランスのドゴール元大統領暗殺をテーマにした小説「ジャッカルの日」を出版し作家デビュー。同作は映画化もされ、日本にもファンを多く持つ人気作家となった。
自伝の出版に合わせて行われた同紙とのインタビューで、フォーサイス氏が明らかにした。小説を書く際には、MI6側が内容をチェックしたこともあったという。
同紙によると、フォーサイス氏はジャーナリストだった68年、ナイジェリアのビアフラ内戦取材中に、MI6のメンバーと接触し現地の情勢を報告。以来、情報交換を続けた。
73年には、冷戦下の東ドイツで、情報当局が必要とする小包を国外に運び出す任務を請け負った。協力者のロシア人大佐から博物館のトイレで受け取った後、国境近くで捕まりそうになりながらも任務を遂行した。
80年代には、MI6の依頼で南アフリカに。デクラーク政権が、ネルソン・マンデラ氏が率いるアフリカ民族会議(ANC)に政権を譲る際、同国が製造した原爆6個をどう扱う計画なのかを探ったという。
フォーサイス氏は「ソ連も東ドイツもなくなった今、(事実を明らかにして)何を傷つけるのか」と述べ、時間の経過を告白の理由に挙げた。