フィリピン、アジア投資銀への加盟を発表 実利を優先

2015/12/30 19:04
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【マニラ=佐竹実】フィリピン財務省は30日、中国が主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に加盟すると発表した。創設メンバーとして参加を表明した57カ国のうち、フィリピンだけが設立協定に署名していなかった。中国とは南シナ海の領有権を巡って争っているため参加の可否を慎重に検討してきたが、国内のインフラ需要の大きさを鑑みて実利を優先した形だ。

設立協定への署名は、アキノ大統領が29日に承認した。創設メンバーになるための期限である31日までに署名する。フィリピン財務省によると、想定されるAIIBへの払込資本金は5年間で1億9600万ドル(約236億円)という。

プリシマ財務相は30日、「国際機関は正しい統治が重要で、我々はAIIBが透明性や独立性などを維持できると信じている」とコメントした。

フィリピンは6月に北京で開かれたAIIBの設立協定の署名式に出席したが、署名自体は見送っていた。南沙(英語名スプラトリー)諸島で中国が人工島の造成を強行し、緊張が高まったことが背景にある。同盟国である米国や日本が参加を見送ったこともあり、署名の可否を締め切り間際まで検討してきた。

領有権問題を抱えながらも中国が主導するAIIBへの加盟を決めたのは、国内のインフラ不足が深刻なためだ。2010年から20年までのインフラ需要は1270億ドルと国内総生産(GDP)の約6%に相当するが、比政府は14年実績で3%しか支出できていない。

鉄道や地下鉄などのインフラが整備されていないため首都マニラは交通渋滞が深刻だ。マニラの渋滞による1日の経済損失額は24億ペソ(約60億円)と試算され、成長を阻害している。こうしたインフラ不足を世界銀行やアジア開発銀行(ADB)だけではまかない切れていないのが現状で、フィリピンは既存の国際金融機関に加えてAIIBの資金力も活用することを決めた。

31日に東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体(AEC)が発足することも後押しした。フィリピンを除くASEAN主要国はすでに、参加を表明しており、フィリピンだけ加盟しなければ域内での開発競争に取り残される懸念もある。プリシマ財務相は「AIIBは、インフラ整備におけるASEAN域内の協力を深化させる機会になる」と述べている。

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