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北朝鮮ICBM、意表突く2回目発射 米国へアピール最大化

(更新)

【ソウル=鈴木壮太郎】北朝鮮が28日発射した2回目の大陸間弾道ミサイル(ICBM)は異例だった。これまでのような朝ではなく深夜で、発射地点も事前の見方とは違っていた。従来のパターンを踏襲しなかったのはなぜか。日米韓は今後、北朝鮮の挑発にどう対応するのか。

なぜ深夜に発射

北朝鮮がICBM級の「火星14」の2回目の発射に踏み切ったのは28日午後11時42分ごろ。北朝鮮は今年に入って弾道ミサイルを11回発射しているが、夕方だった5月21日を除いて、朝の発射だった。深夜は極めて異例だ。発射地点も事前に準備の動きが確認された平安北道亀城(クソン)ではなく、慈江道舞坪里(ムピョンリ)だった。

「任意の地域と場所から任意の時間にICBMを奇襲発射できる能力を誇示できた」。北朝鮮は29日の朝鮮中央通信の報道でこう自賛した。各国のかく乱を狙ったのは間違いない。

「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2日前の26日に報告を受けていた」。韓国大統領府は30日、「軍は時間も場所も予測できなかった」と報じた一部メディアに強い遺憾の意を表明した。

北韓大学院大学の金東葉(キム・ドンヨプ)教授は深夜の発射を「米国時間の朝を狙った」と分析する。金正恩(キム・ジョンウン)委員長の最終目標は米国からの体制保証の取り付けだ。ICBM発射を米国に知らしめる狙いとみる。

発射地点の慈江道について、朴輝洛(パク・フィラク)韓国国民大政治大学院長は「中朝国境に近く山岳地形のため、米軍が空爆などの先制攻撃を仕掛けにくい。秘密のミサイル基地があると推定される場所」と解説する。実戦配備を強く意識した可能性がある。

6回目の核実験は

28日に発射したミサイルは高度、飛距離ともに4日の同型発射を大きく上回った。北朝鮮は兵器として完成させるために核弾頭の開発も急いでおり、専門家は「北朝鮮は6回目の核実験を実施する」と予測する。

現役軍人で韓国国防研究院の研究員の李相旻(イ・サンミン)氏は北朝鮮が5月の「火星12」と7月4日の「火星14」発射後の発表で「大型重量核弾頭」という用語を使ったことに着目する。29日の発表も「重量弾頭部」との表現がある。

北朝鮮は核実験を通じ、ミサイルに搭載できるように核弾頭の小型化を進めてきた。今後も小型化に力を入れる一方、搭載可能な範囲内で、より威力の大きい核弾頭を開発するというのが李氏の見方だ。「直径70~80センチメートルで重さ500キログラム程度の小型と、直径1メートルで重量700~1000キログラムの大型の2種類を開発すると予想される」という。

李氏は大型の開発には「さらなる核実験が不可避」とみている。火星12、同14の発射で北朝鮮が重量弾頭に言及しているのは「追加の核実験の可能性を示唆している」と指摘する。

日米韓連携は

日米韓3カ国はミサイル防衛網の強化を急ぐ。日本は現在、イージス艦に搭載した海上配備型迎撃ミサイル(SM3)と、地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の二段構えで弾道ミサイルに備えるが、今回のような高高度のミサイル迎撃は技術的に難しい。

北朝鮮は同時発射や奇襲性などの能力も高めている。政府はミサイルの多様化に対応するため、イージス艦に搭載する迎撃システムを陸上に配備する「イージス・アショア」の導入を検討。米国とは射程の長い迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」を共同開発中だが、配備まで数年かかる見通しだ。

韓国政府は在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を増強する方針に転じた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、THAADの発射台を配備済みの2基から臨時的に増やすよう指示。韓国内では米軍が2基の発射台と高性能レーダーの運用を始めたが、追加の4基は韓国に搬入された後、未配備のままだった。

ただTHAAD配備への中国の反発は必至。韓国政府は中国に追加配備方針を伝達したが、中韓関係の改善の障壁になる可能性がある。

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