2018年11月18日(日)

伊モンテパスキ銀支援、政府負担8100億円 伊中銀試算

2016/12/30 20:34
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【ジュネーブ=原克彦】イタリア中央銀行は29日、同国銀行3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナに対する伊政府による公的支援の負担額が66億ユーロ(約8100億円)に上るとの試算を発表した。欧州中央銀行(ECB)は同行の経営健全化に88億ユーロが必要と勧告していた。66億ユーロの公的支援のほか、残る22億ユーロ分は同行の劣後債を保有する機関投資家が損失として被る見通しだ。

モンテパスキ銀支援のため、伊政府は実質的に個人の損失を肩代わりする(シエナの支店)=AP

公的支援は同行の自己資本の増強に加え、個人投資家の損失を埋め合わせるために充当する。伊銀行は計3600億ユーロと国内総生産(GDP)の2割程度に当たる不良債権を抱える。最大案件のモンテパスキは50億ユーロの増資を柱とする自力再建策を断念し、伊政府は23日に公的支援を決めた。

自力再建策のとりまとめに時間がかかるうちに財務が劣化し、国の公的支援額も膨らんだ。伊中銀の試算によると、伊政府はモンテパスキの中核的な自己資本比率を8%に引き上げるために21億ユーロを使う。さらに補完的項目を含めた自己資本比率を11.5%にまで高めるのに25億ユーロを投じる。

欧州連合(EU)の欧州委員会は銀行再生・破綻処理指令で、国が銀行を救済する際には株主や銀行債の保有者に一定の損失を負わせることを求めている。今回の公的支援を巡っては、伊中銀は全体で88億ユーロが必要とされる支援額のうち、22億ユーロ分は政府以外が拠出すると指摘した。具体的には言及していないが、劣後債を持つ機関投資家が損失を負担することを想定しているもようだ。

投資家の保有する劣後債を強制的に株式に転換する。同行の株価は大幅に下落しているため、公的支援の前提となる欧州委のルールに従った形で、機関投資家にも負担を求めることになる。

ただ、約4万人の個人投資家が同じルールで損失を被ると、社会問題に発展しかねない。このため、個人投資家については、ほとんど価値がない株式を、保有していた劣後債と同じ額面の一般債と交換し損失を負わないようにする。伊政府はこのために必要な20億ユーロを拠出し、実質的に個人の損失を肩代わりする。

こうした投資家の保護策は、銀行救済に伴う納税者負担の抑制を重視するEUのルールにそぐわない。欧州委員会が例外的に認めるかどうかが焦点となる。

「評価の裏付けを共有することが重要だ。(銀行の健全化に)一緒に取り組んでいるのだから」。ジェンティローニ首相は29日の記者会見で、ECBがモンテパスキの健全化に必要な金額を従来の50億ユーロから引き上げたことに説明を求めた。

伊政府は健全化が必要な銀行向けに200億ユーロの予算を確保済みだが、モンテパスキへの支援額が膨らむと、他の銀行に回せる財源が減る。

伊政府は今夏にもモンテパスキへの公的資金の注入を検討した。しかし欧州委のルールに従うと多くの個人が損失を被ることを懸念し見送った。同行はその後、自力再建をめざしたが必要な資金を集められず、経営不安が預金の流出を招いた。

モンテパスキは公的支援を前提にした新たな経営再建策をまとめ、ECBと欧州委の承認を受ける必要がある。パドアン経済・財務相は伊経済紙イルソーレ24オーレに対し、モンテパスキがこうした手続きを経て、3カ月以内に増資を実現するとの見方を示した。

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