中国で石油大手が急失速 8割減益

2016/8/30 0:50
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中国石油化工の王董事長(右)は原油相場について厳しい見通しを示した(29日、香港)

中国石油化工の王董事長(右)は原油相場について厳しい見通しを示した(29日、香港)

【香港=阿部哲也】中国で最大の石油産業が急失速している。中国石油天然気(ペトロチャイナ)などの上場3社は、2016年1~6月期決算の純利益(合計)が前年同期比で8割減り、過去最低になった。原油安や中国の景気減速に加え、海外投資の損失増が響いた。260万人もの雇用を抱える3社の不振は、中国経済に暗い影を落としそうだ。

3社を中心とする石油産業は中国の国内総生産(GDP)の1割程度を占める。関連企業を含めると雇用は1千万人規模となり、日本の自動車産業の2倍に相当する巨大な産業だ。

ペトロチャイナ、中国石油化工(シノペック)、中国海洋石油(CNOOC)の3社の上半期決算が29日、出そろった。油田開発を手がけるペトロチャイナは純利益が98%減り、ガソリン販売や化学品が主力のシノペックは22%減益。海洋油田のCNOOCは上場後初の最終赤字に転落した。

「世界経済の先行き不安は増し、中国も(無理に高成長を求めない)新常態に入った。原油価格の低迷は長引くだろう」。シノペックの王玉普董事長は29日、先行きに厳しい見方を示した。

急失速の主因は、年前半まで続いた原油安と中国経済の減速だ。上期は「原油の実勢販売価格が平均で36.5%下がった」(ペトロチャイナ)。各社の主力である油田開発や原油生産など上流部門の採算が悪化し、ガソリンなど石油製品の内需も振るわなかった。

海外投資の失敗も響いた。3社は中国の高成長が続いた14年ごろまで「世界一流」をめざして海外資源権益への積極投資を続けてきた。だが、CNOOCは16年上期に前年同期の7.5倍となる103億元(約1600億円)の減損費用を計上した。巨費を投じて買収したカナダの石油会社ネクセンなどの業績低迷が続いているためだ。

ペトロチャイナ関係者も「巨額の含み損を抱えている」と言う。アフリカのスーダンで100億ドル(1兆円強)の巨費を投じて油田開発を主導しているが、内戦で生産が滞る。イランやリビアなど欧米勢が尻込みする危険な地域に積極的に進出してきた3社だが、裏目に出た。

原油安で欧米大手が次々と海外鉱区の減損処理に乗り出すなかで、3社は「処理に積極的ではない」(証券アナリスト)。ペトロチャイナは16年上期も小幅の減損処理で済ませた。3社は数兆円ともされる潜在的な減損リスクを抱える。

中国では企業の生産活動が停滞し、下半期も3社の経営環境は厳しい。3社は16年にパイプライン増設や油田権益の取得などに投じる投資をピーク比で4~5割減らす計画だ。プラントや鉄鋼、機械など内外の関連企業に打撃となる。アフリカなど海外の油田権益に対する積極的な投資にも歯止めがかかりそうだ。

3社は安定雇用を重視してきたが、リストラが喫緊の経営課題になった。3社は合計で260万人もの雇用を抱える。トヨタ自動車の8倍近い規模だ。ペトロチャイナは15年に正社員の給与を初めて削減。16年も大慶油田(黒竜江省)などで人員の削減を始めた。シノペックも「効率的な組織づくりが欠かせない」として主力油田の勝利油田(山東省)などで人員削減を検討する。3社のリストラが中国経済に与える影響は無視できない。

エネルギー製品市況にも影響を及ぼしそうだ。ペトロチャイナの王宜林董事長は「どんどん輸出を増やす」とする。今年上期は中国の石油製品の輸出が7割増えた。販売単価の下落を補うため増産で量を求めた。国内で余った分を輸出に振り向ければ、国際相場の波乱要因になりそうだ。

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