2018年6月22日(金)

アジア投資銀、最高格付け 米ムーディーズ

2017/6/29 20:00
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 【北京=原田逸策】中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は29日、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスから最上位となる「Aaa」の格付けを得た。自己資本や流動性が厚いことに加え、これまでの手堅い運営も評価された。海外での低金利での資金調達に向け前進した。日本のAIIBへの参加論議にも影響する可能性がある。

第2回年次総会の開幕式であいさつするAIIBの金立群総裁(16日、韓国・西帰浦)=共同

第2回年次総会の開幕式であいさつするAIIBの金立群総裁(16日、韓国・西帰浦)=共同

 ムーディーズは「ガバナンス(企業統治)の強固な枠組み、妥当な自己資本、流動性の高さを考慮した」と説明した。格付けの見通しは「安定的」とした。AIIBは2016年1月の開業から1年半で、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)など他の国際開発金融機関と同じ高い格付けを得た。

 AIIBは自己資本が1千億ドル(約11兆円)と「同じ格付けの他の開発金融機関よりも厚い」(ムーディーズ)。6月末の投融資は約25億ドルと資本の2.5%にとどまり、大半が低リスクの世銀などとの協調融資だ。手元資金の管理も「他の開発金融と同等かそれより厳格」(同)とした。

 今回の格付けには2つの「驚き」がある。

 1つはムーディーズという国際大手の格付け会社から得たこと。海外市場で債券を発行しやすくなる。ドルなど人民元以外の資金も調達が容易になる。中国がロシア、インドなどと運営する新開発銀行(通称BRICS銀行)は審査の甘さが指摘される中国の格付け会社からしか「投資適格」の格付けを得ていない。債券発行も中国国内市場での人民元建てだ。

 2つ目は格付けが最上級だったこと。低い金利で債券を発行できるので、低金利での融資が可能になる。日本政府内では「最上級は難しい」との見方があった。約3割と最大出資国の中国の国債が今年5月にムーディーズから格下げされたこともAIIBの格付けに響くとの指摘もあった。

 AIIBの金立群総裁は6月の年次総会後の記者会見で「17年中に3つの格付け会社から格付けを取得できる」との見通しを示した。他の格付け会社からも格付けを取る可能性が高い。

 格付け取得によりAIIBの国際開発金融機関としての体制整備はさらに進む。ムーディーズがリスクや財務の管理を評価したことで、AIIBは国際的な「お墨付き」を得たとアピールする可能性が高い。

 ただ、ムーディーズはどのような場合にAIIBが格下げになるかにも言及した。融資審査やリスク管理が甘くなったり、中国など主要出資国からの支援が弱まったりした場合を挙げた。これまでのように堅実な運営を続けられるかどうかが高格付けを維持するカギを握る。

 日本の財務省幹部は「民間企業の判断にコメントしない」としつつ、AIIBへの参加には慎重な考えを改めて示した。参加の是非を巡ってはAIIBの公正なガバナンスの確立などの条件が満たされるかを重視するという。

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