2019年6月18日(火)

ギリシャショック、世界に リスク回避の動き広がる

2015/6/29付
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【ロンドン=黄田和宏】債務問題に直面するギリシャに対し、欧州連合(EU)が支援を延長しないと決めたことを受け、週明け29日の国際金融市場では投資家がリスクを回避する動きが広がり、株安が世界に波及した。ギリシャが欧州の単一通貨ユーロから離脱するシナリオが再燃し、投資家は他の南欧諸国への飛び火など欧州債務危機の再来を警戒し始めている。

ギリシャのチプラス首相はEUが支援の引き換えとして求めていた改革案を受け入れるかどうかをめぐって7月5日に国民投票をする方針を表明。これに反発するEUは金融支援の延長を拒否した。ギリシャは29日から銀行の営業を停止し、資本規制を導入することを強いられた。EUや国際通貨基金(IMF)の支援がなければ、30日が期限となる15億ユーロ強(約2000億円)のIMFへの債務返済は困難との見方が大勢だ。

週末のギリシャ・ショックを世界の主要市場で真っ先に受ける形となった東京市場ではユーロが大幅に下落。対ドルで一時1ユーロ=1.09ドル台後半と2%近く下落した。対円でも1ユーロ=133円台後半と、前週末に比べ4円以上の円高・ユーロ安水準をつけた。

株式市場は全面安となった。日経平均株価は前週末に比べて596円下落した。ほぼ1年5カ月ぶりの下落幅になる。中国株の大幅安も相場の重荷となり、海外投資家を中心に運用リスクを回避する売りが広がった。

日経平均の終値は前週末比596円(2.88%)安の2万0109円だった。米景気の先行き不安で610円下げた2014年2月4日以来の下げ幅となった。その他のアジアの主要市場も売りが優勢となった。

ギリシャの3年物国債(17年償還)利回りは前週末の20%近辺から大きく上昇(価格は下落)。一気に35%台まで跳ね上がり、12年の欧州債務危機後の最高水準に達した。スイス金融大手のUBSはロンドン時間28日夜(日本時間29日早朝)、急きょ投資家向けの電話会議を開き、「ギリシャのユーロ離脱リスクは4割になった」と警戒を促した。

投資家の間ではユーロ圏で債務危機が再現されるとの連想が強まった。欧州市場ではドイツ株が一時4%安となるなど、全面安となる一方、安全資産に資金が逃避し、ドイツの10年物国債利回りは一時0.7%台前半に急低下した。スイスフランにも買いが膨らみ、スイス中銀は為替介入に踏み切った。

投資家が警戒しているのが、問題がギリシャにとどまらず、スペインやイタリアなどの南欧諸国に波及することだ。12年の債務危機時には国債利回りの上昇で銀行の資産内容が悪化し、公的資本注入により財政負担が高まるという悪循環が広がった。12年当時と異なるのは「欧州中央銀行(ECB)が量的緩和策の拡大や(無制限に国債を買い入れる)OMTの発動という選択肢を持っていることだ」(JPモルガン・チェースのグレッグ・フゼシ氏)。

ECBは28日の理事会で「権限のなかで利用できるすべての政策手段を動員する」との方針を確認した。イタリアのパドアン経済・財務相は29日付の地元紙に「ギリシャ危機はイタリアに打撃を与えることはない」と語り、危機の波及を阻止するために全精力を傾ける構えだ。

アテネ証券取引所は株式の取引を中止。現行の金融支援が期限切れとなる7月以降もECBによる資金繰り支援を得られるのか不透明で、国民投票まで金融システムが持ちこたえられるのか、緊張感が高まっている。

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