スコットランド首相、EU首脳と会談 「残留」を模索

2016/6/29 21:13 (2016/6/30 2:03更新)
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 【ブリュッセル=小滝麻理子】国民投票で決まった英国の欧州連合(EU)離脱を受けて、英北部スコットランドが独自にEU残留を図る動きが加速している。スコットランド行政府のスタージョン首相は29日、EUの首脳陣と相次ぎ会談し、EUとの関係維持を訴えた。首都ロンドンなどからもEU残留を求める声が上がり、地域の分断が深まっている。

29日、EU本部を訪れたスコットランドのスタージョン行政府首相(ブリュッセル)=ロイター

 スタージョン氏は29日、ブリュッセルのEU本部を訪れ、欧州委員会のユンケル委員長や欧州議会のシュルツ議長と相次いで会談した。ロイター通信によると、スタージョン氏はシュルツ氏との会談後に「スコットランドはEUにとどまる決意をした」と述べた。

 国民投票でスコットランドは62%という多数が残留を支持した。スコットランド議会は28日、スコットランドが今まで通りEUにとどまれるよう、EUと英政府のそれぞれと協議を始めることを満場一致で可決した。

 スタージョン氏は「EU単一市場へのアクセスを今まで通り確保するために、あらゆる選択肢を検討する」と発言。EU首脳陣に直接、EU残留の意志を伝え、協議を求めた。

 スコットランドは2014年に英国からの独立を問う住民投票を否決。だが、そのときは英国がEUにとどまることが前提だった。英国のEU離脱決定を受けて、スタージョン氏は「住民投票の再実施は可能性が極めて高い」と発言。「私はEUにおけるスコットランドの地位を守る強い覚悟がある」と述べた。28日、スコットランド議会前には英のEU離脱に反対する数百人のデモが起こった。

 こうした動きに対して、EU側は慎重な姿勢を崩していない。EUはあくまでも英国との離脱交渉が滞りなく始まることを優先する考え。英国がEUに離脱を通告する時期が見えない中で、いたずらにスコットランドと話し合いを進めれば、英国の混乱を深め、離脱交渉が長期化しかねないと危惧しているためだ。

 AFP通信によると、スペインのラホイ首相は29日、EUとスコットランドの協議に反対した。バスク地方などに独立の動きが波及するのを警戒したもよう。EUのトゥスク大統領はスタージョン氏との面談を「時期尚早」と断ったとみられる。

 もっとも、スコットランド内でも、早期の住民投票に向けては意見も割れている。26日公表のサーベイション社の世論調査によると、2度目の住民投票実施に反対する住民は44.7%で、賛成の41.9%より多かった。

 独立が2度続けて否決されると、独立の芽がなくなるため、スタージョン氏は再実施のカードを慎重に使うとみられる。ただ、英国とEUの交渉が長引き、経済に悪影響が出れば、世論も急速に独立に傾く可能性がある。スコットランドには、英国で唯一の核兵器が配備された基地がある。スコットランドの独立は、安全保障分野など英国の地位をさらに低下させかねない。

 英国内では、残留を支持したほかの地域でも、独自にEUにとどまろうとする動きが広がっている。

 首都ロンドンではカーン市長に「ロンドンの英国からの独立とEU加盟」を求める運動が熱を帯びる。北アイルランドでも、民族主義政党シン・フェイン党がEU加盟のアイルランドとの統合を問う住民投票の実施を要求。離脱後の英国の姿がみえないなか、国家への遠心力は一段と強まりかねない状況だ。

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