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豪銀で相次ぐ不祥事 コモンウェルス銀に資金洗浄の疑いで調査

2017/8/28 23:26
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 【シドニー=高橋香織】オーストラリアの四大銀行で不祥事が相次いでいる。最大手のコモンウェルス銀行では資金洗浄(マネーロンダリング)・テロ資金供与防止法に違反した疑いが浮上。豪健全性規制庁(APRA)は28日、調査を開始すると発表した。野党は当局による監督の不備を巡って攻勢を強めており、ターンブル政権のアキレスけんとなりかねない。

 「銀行に対する社会の信頼がここ数年で損なわれている」。APRAのウェイン・バイヤース会長は調査開始にあたってこう述べた。実際は提供していないサービスの手数料を顧客から取るなどの不正が表面化。中でも問題が多く指摘されるコモンウェルス銀について企業統治が機能しているかなどを調べ、半年後に報告をまとめる。

 豪金融取引報告・分析センター(AUSTRAC)は今月3日、資金洗浄の疑いがある取引について報告義務を怠ったなどとして、同行を連邦裁判所に提訴した。不正の温床とされるのは2012年5月に同行が導入した新型ATMだ。

 1回に最高2万豪ドル(約174万円)の現金を1日に何回も入金でき、利用額が急増。他行のカードを使えば預けた人の身元が明らかになりにくいなどの特徴があり、資金洗浄に使われやすいが、同銀は15年半ばまで対策を取らなかったとされる。

 AUSTRACによると、14~15年に起きた香港の犯罪組織が関与したとみられる事件で、容疑者らは同行のATMから30の口座に2059万豪ドルを入金。大半が即座に海外に送金された。休暇で豪州を訪れた外国人が開設した口座や偽名口座を悪用していたという。

 また、違法薬物に絡む資金洗浄に同行のATMが使われたケースも豪連邦警察の捜査で明らかになっている。AUSTRACは警察からの連絡を受けた後も同行が関係する口座を放置するなど、適切な対応を取らなかったと指摘する。

 AUSTRACは1万豪ドル以上の入金について、10日以内の報告を銀行に義務付けているが、コモンウェルス銀は5万3千以上のケースでこれに違反。今年1月には5日間で1口座に32万豪ドルが入金されたが、報告していなかったという。

 同行のイアン・ナレブ最高経営責任者(CEO)は「間違いはあったが故意ではなかった」と説明し、関係当局に協力する姿勢を示している。ただ、裁判の結果次第では「巨額の罰金を科される可能性がある」(地元紙)。情報開示が不十分だったとして株主集団訴訟の準備も進む。

 豪州は金融先進国とされ、最大行を舞台にずさんな取引が横行していた実態が浮かび上がったことに国内では衝撃が広がっている。ターンブル首相は28日、「APRAはコモンウェルス銀の問題に迅速に対応している」と強調し、事態の沈静化を図った。一方、野党は四大銀行への本格調査を要求。金融当局任せにする政権の対応を不十分だと批判を強めている。

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