2019年1月23日(水)

雨傘運動1年、香港民主派の閉塞感強まる

2015/9/28付
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【香港=粟井康夫】香港の若者らが選挙制度の民主化を求めて主要道路を占拠した「雨傘運動」開始から28日で1年を迎えた。中国政府は香港への締め付けを強めているほか、民主派内部にも今後の運動方針を巡る展望が開けず、閉塞感が強まっている。

午後5時58分。1年前に香港の警察当局がデモ隊に催涙弾を発射した時刻に、政府本部庁舎の周囲に1000人超の市民が集まり、運動のシンボルとなった黄色い雨傘を掲げた。一部の参加者は道路に飛びだそうと試み、制止する警官隊とにらみ合いとなった。

香港の民主派は昨年9月28日、2017年の香港行政長官選挙で民主派の立候補を実質的に排除する中国の決定に反発し、幹線道路で座り込みを始めた。だが中国政府は一切の妥協を拒み、最後は香港の警察当局がデモ隊を強制排除した。占拠期間は79日間に及んだ。

香港の立法会(議会)は6月、中国政府の方針に沿った選挙制度改革法案を否決し、民主派の普通選挙を求める運動は練り直しを余儀なくされた。民主派議員は選挙制度改革のやり直しを求めるが、中国・香港政府は応じない構えだ。

中国政府は香港への締め付けをじわりと強める。出先機関のトップである張暁明・駐香港特別行政区連絡弁公室主任は9月中旬、「香港行政長官の地位は中央政府の下にあり、香港の三権を超える」と述べ、香港での三権分立を否定した。外交・防衛を除く分野で幅広い分野での自治を認める「一国二制度」が形骸化しかねないとして香港の体制派からも懸念が出ている。

民主派も態勢を立て直せずにいる。雨傘運動を主導した学生団体、香港学連からは香港大学など4大学が脱退した。学連の周永康・前秘書長は28日、日本経済新聞の取材に「あれだけ抵抗しても何も変わらなかった。戦術を見直さなければならない」として、草の根レベルから民主化に取り組む必要があると語った。

もう一つの学生団体である学民思潮の幹部、周庭氏も「中央政府と普通選挙を争ってももはや意味が無い」と述べ、住民投票制度を導入して香港の将来を市民が選べる仕組みを目指す考えを強調した。だが中国政府が住民投票を認める可能性はゼロに近い。

11月には占拠後初の選挙となる区議会選挙が実施される。雨傘運動に参加した20歳代の若者には新たに政党を組織して立候補を目指す動きもあるが、既成の民主派政党との共倒れを懸念する声もある。

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