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メルケル独首相「難民受け入れ変えず」

治安対策を強化

【ベルリン=赤川省吾】テロ事件が欧州で相次いでいることを受け、ドイツ政府は治安対策を強化する。メルケル独首相が28日の記者会見で「(治安の)穴を埋めないといけない」と語った。武器の売買に関する規制を強め、警察の人員を増やす。難民の受け入れ政策は変更せずに、テロの頻発でドイツ社会に広がる不安の解消に取り組む。

「治安への信認を立て直さないといけない」。それが夏休みを中断し、記者会見に臨んだメルケル首相のメッセージだった。ドイツ社会に忍び寄る不安をぬぐおうとする姿勢を強調した。

ドイツでは22日にミュンヘンで極右思想の容疑者が銃を乱射し、24日には南部の小都市で難民申請者のシリア人男性が自爆した。過激派組織「イスラム国」(IS)の関与が疑われている。

メルケル首相は組織的なテロ襲撃だけでなく「ローンウルフ(一匹おおかみ)」型の犯行の危険性が高まっていると指摘。未然に事件を防ぐことが重要になると述べた。

武器規制の強化や警察の増員に加え、欧米各国と捜査情報を交換すると強調、治安対策予算を増やすことも示唆した。難民審査をパスしなかった入国者を強制送還しやすくする仕組みも整える。

だがインターネットなどを通じて過激思想に感化される若者を捜査当局が見つけ、事件を防ぐのは難しい。しかもメルケル首相は1年前の記者会見で寛容な難民政策への理解を求め「我々なら(危機を)解決できる」と言い切った経緯がある。

この点を問われたメルケル首相は「生易しいことではない」と認めたが、「考えは変わっていない」と反論。難民を受け入れるという政策は見直さずに治安対策との両立を図る考えを示した。

ドイツに入国する難民のほぼ半分がシリア出身だ。和平のカギを握るトルコ情勢についてメルケル首相は「推移を見守る」と語り、エルドアン大統領による反体制派の弾圧を間接的に批判した。

記者会見での質疑はテロ・難民対策に集中。英国の欧州連合(EU)からの離脱など、ほかの話題は記者団からほとんど質問が出なかった。

ドイツ社会はテロ事件後も表向きは冷静で目立った難民排斥の動きはないが、底流では不安が膨らむ。このため民族主義政党「ドイツのための選択肢」は根強い支持を集める。9月には外国人への差別が根強い旧東独地域で地方選が行われる。同党はここで躍進し、来年秋の議会選で国政に進出するシナリオを描く。

だが不安だからこそ安定を望むドイツ人も多い。極端な思想が勢いを得てドイツ社会が割れることへの警戒感も強い。メルケル氏が率いる保守陣営の支持率は30%台半ばで下げ止まり、第1党の勢い。保守系が中道左派との大連立を続けるのか、それとも連立相手を「緑の党」やリベラル系政党に変えるのかが来年の議会選の焦点となる。

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