2019年7月18日(木)

台湾の馬英九総統、南沙諸島を訪問 領有権改めて主張

2016/1/28 20:29
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28日に太平島で声明を発表する台湾の馬英九総統=総統府提供

28日に太平島で声明を発表する台湾の馬英九総統=総統府提供

【台北=山下和成】台湾の馬英九総統は28日、南沙(英語名スプラトリー)諸島で台湾当局が実効支配する太平島を訪問した。領有権を改めて主張し約4カ月の残り任期中の実績とする狙いだ。南シナ海の領有権を主張し、台湾を自国の一部と見なす中国は馬氏の行動を静観する構え。米国や周辺国は反発しており今後の南シナ海情勢に影響を及ぼす可能性がある。

太平島は南沙諸島で最大の島で、軍用機の滑走路のほか昨年12月には埠頭や灯台も完成した。台湾の海岸巡防署(海上保安庁に相当)の職員100人超が常駐する。

馬氏は28日午前に太平島に到着し「(台湾の)固有の領土」などとする声明を発表。一方で馬氏が昨年5月に提唱した、領有権の争いを棚上げにして資源の共同利用などを目指すべきだとする「南シナ海平和イニシアチブ」も改めて強調した。

中国大陸の政権党だった国民党の「中華民国」は第2次世界大戦前から南シナ海一帯の領有権を主張。太平島について国民党政権は1949年に台湾に逃れた後も実効支配を続けた。2008年には当時の陳水扁総統(民進党)も訪問した。

馬氏は政権の実績として太平島訪問にこだわった。今月16日の総統選では台湾独立志向の最大野党・民進党の蔡英文主席に大敗し、与党・国民党は5月に下野する。馬氏は「対米関係悪化を覚悟してでも自らの実績作りを優先した」(東京大学の松田康博教授)。

中国と台湾は不可分の領土とする「1つの中国」の原則を認めている馬氏による領有権主張は、中国にもプラスに働く面がある。中国外務省の華春瑩副報道局長は28日の記者会見で「両岸(中台)の中国人は中華民族の資産を守る責任がある」と述べた。

南沙諸島の領有権を主張するベトナムやフィリピンは馬氏の太平島訪問に反発。米国務省のトナー副報道官も27日、訪問計画を「南シナ海の領有権争いの平和的解決に役立たない」と批判した。

一方、5月に就任する蔡次期総統は米との協調を重視し、馬氏からの訪問同行要請を拒否した。28日には「南シナ海の主権を堅持する」と述べたうえで、他国との争いは国際法と海洋法に基づいて処理すべきだとの考えを示した。南シナ海での緊張を高めるつもりは無いとの意思表示だ。

ただ去りゆく総統とはいえ、今回の馬氏の行動で台湾の対米関係にしこりが残った。民進党は政権交代までに馬氏が「独断専行」を繰り返すことへの警戒感を強める。

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