ベトナムGDP6.2%増 16年、4年ぶり伸び率鈍化

2016/12/28 20:20
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【ハノイ=富山篤】ベトナム統計総局は28日、2016年の実質国内総生産(GDP)が6.21%増だったと発表した。4年ぶりに伸び率が前年を下回った。巨大工場を持つ韓国サムスン電子の製品発火事故に伴う生産減でスマートフォン(スマホ)輸出の伸びが鈍化したほか、約7割を占める個人消費も伸び悩んだ。フィリピンと並ぶ東南アジアの優等生の同国に陰りが見え始めた。

ベトナム政府は当初GDP成長率の目標を6.7%とし、秋ごろに6.3%に下方修正したが、未達に終わった。

サムスンは北部バクニン省、タイグエン省に工場を持ち、世界生産の3割をベトナムで担う。2016年のスマホ、携帯電話(部品含む)の輸出は前年比14.4%増と15年の伸び率(28%増)から半減した。「17年はサムスンの輸出のさらなる減少は避けられないだろう」(統計総局)としている。

工業・建設分野全体でみても、7.6%増と前年伸び率の9.6%を下回った。原油安に伴い、資源採掘関連が4%減と過去5年で最も落ち込んだほか、中部ハティン省で建設中だった台湾プラスチックの大型製鉄所の建設が公害問題でストップしたことも影響した。中国の景気減速の影響で安価な鉄鋼がベトナムに流入し、国内の鉄鋼生産も伸び悩んだ。

ベトナム経済をけん引してきた個人消費にも陰りが見える。16年の小売総額は7.4%増と過去10年で伸び率が最低に。10年には30.8%増となるなど9年連続で2桁の伸びが続いていた。16年の新車販売は過去最高の30万台を見込み、富裕層の消費は堅調ながら中間層、低所得層が伸び悩んでいる。

原因は将来への不安がある。16年は教育費、電気代、ガソリン代、交通違反の罰金など値上げが相次いだ。インフレ率は2.7%と前年の0.6%を上回り、トランプ次期米大統領の選出以降、ドン安傾向に拍車がかかっている。世界銀行が「加盟国でベトナムが最も潤う」として期待が高まっていた環太平洋経済連携協定(TPP)もトランプ政権で米国の離脱が決定的となり、縫製産業、農水産業などに落胆が広がっている。

陰りが見え始めたベトナムだが、東南アジア主要国で6%台の成長を維持しているのは同国以外ではフィリピンとミャンマーだけ。平均年齢28歳の9300万人の個人消費市場も魅力的だ。ベトナム政府は国営企業改革と不透明な規制の緩和に乗り出しており、外資流入が加速すれば経済の成長速度が再び上向く可能性はある。

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