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サウジ財政赤字10.5兆円 16年予算、原油安が打撃

【ドバイ=久門武史】世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアは28日、2016年予算を発表した。歳出から歳入を引いた財政赤字は3262億リヤル(約10兆5千億円)となり、15年実績見込みより約400億リヤル減らす目標を掲げた。底が見えない原油価格の下落が財政を直撃した格好。サウジ財務省は同日、財政改革を進める方針を示した。補助金の見直しや付加価値税をはじめとする新税の導入を検討している。

サウジの16年予算は歳入が5138億リヤルと、15年実績見込み比で15%減少する。歳出は8400億リヤルで同14%減とした。

サウジが同日明らかにした財政収支の15年実績見込みは、歳入が6080億リヤルで同年の予算より15%少なかった。逆に歳出は9750億リヤルと予算を13%上回り、3670億リヤルの赤字となった。15年予算は1450億リヤルの赤字を見込んでいた。サルマン国王が国民向けに打ち出した給付金支給のほか、隣国イエメンへの軍事介入の戦費がかさんだとみられている。

財務省は28日の声明で、向こう5年間で水道や電気の料金などを段階的に見直すとし、こうした民生分野での手厚い補助金を削減する考えを示した。歳入面では「手数料と罰金の水準を見直す」とし、たばこや清涼飲料水を値上げの対象に挙げた。「幅広い経済活動の民営化」も盛り込んだ。

サウジはムハンマド副皇太子の主導で経済改革プランを策定中だ。

サウジは国債の発行や外貨準備の取り崩しで急場をしのいでいる。準備資産残高は11月時点で2兆3832億リヤルと前年同月に比べ14%落ち込んだ。このうち「外国証券への投資」は同22%減り、保有株の売却を急いでいるもようだ。国際通貨基金(IMF)は10月、このままでは5年以内にサウジの準備資産が枯渇すると警告していた。

石油輸出国機構(OPEC)が4日の総会で生産枠の協議を棚上げしたこともあり、原油市場では供給過剰感が解ける兆しが見えない。国際指標の北海ブレント原油価格は1バレル37ドル前後で、14年の高値の3分の1という低水準だ。年明けにも米欧がイランへの経済制裁を解いてイラン産原油の輸出が増えれば、需給が一段と緩むのは必至だ。

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