2018年11月13日(火)

[FT]アベノミクス3本の矢、いまだ的中せず

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2014/8/28 14:35
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8月中旬のお盆の時期、日本の人々は故郷に帰って祖先の霊に敬意を表する。お正月は将来に目を向けるのに対し、お盆は過去をじっくり振り返る時だ。今年のお盆は、目標に向かって突き進むことがいかに難しいかを改めて思い起こすことになった。

4~6月期の国内総生産(GDP)は6.8%のマイナス成長となり、市場予想を大幅に下回った。純輸出はプラスだったが、輸入が減ったことが原因で、輸出が特に堅調だったわけではない。香港の証券会社CLSAのデータによると、実質ベースの輸出は2008年のピーク時を16%下回っている。

セール中の都内デパート(7月24日)=ロイター

セール中の都内デパート(7月24日)=ロイター

安倍晋三首相の「3本の矢」は明らかに的を外している。理由はそもそも矢が3本ないことで、あるのはたった1本、通貨の下落のみだ。

これは過去には常に有効な公式だった。円安がかつては日本の電子製品や自動車の輸出を加速させたからだ。だが今日、もはやそうした効果はない。

■構造改革の約束を果たさない首相

日本の製造業は生産拠点の多くを海外に移転させており、今後もその流れは続くだろう。国内の燃料費が福島第1原発事故が発生する以前から高騰しているためだ。円安が進むと、輸入燃料の代金はさらに上昇し続けるだろう。CLSAは今後2年で、アジアの他の諸国における自動車生産が日本の生産台数を上回る可能性があるとみている。

さらに重要なのは、日本の製造業が優位性を失ったことだ。6月の鉱工業生産は前月比3.3%減となり、ピークだった1月を6.9%下回った。データを解析するとさらに厳しい現実が浮かび上がる。日銀の元職員であるJPモルガンの東京在勤チーフエコノミスト、菅野雅明氏によると、今年6月の情報・通信機器の生産は10年の平均値に比べて44%低下し、薄型テレビは97%、携帯電話は71%も減ったという。

通貨安に頼ることの問題点は、メーカーに人工的で一時的な追い風をもたらすことだ。一方で、菅野氏が指摘するように、日本製品を好んでいた日本の消費者も(ついに!)魅力を感じなくなり始めている。

加えて、安倍氏は抜本的な構造改革に取り組むという約束を果たさず、日本企業で働く労働者の賃金が上昇しないため、内需へのシフトは起きなかった。実際、現金給与総額は5月だけで3.8%下落した。

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