米最高裁、中絶制限の州法「無効」 女性の権利支持
【ワシントン=川合智之】米連邦最高裁は27日、女性の妊娠中絶を制限するテキサス州の州法を無効とする判断を下した。州法は女性に過度の負担を強いるとして、最高裁の8人の判事(1人欠員)が5対3で無効とした。女性の権利保護を重視し、中絶を制限する保守的な傾向を否定する判決となった。
中絶を巡っては保守的な共和党と、女性の権利を支持する民主党の見解が割れており、11月の米大統領選でも争点になりそうだ。
州法は人工中絶手術を実施する病院に対し、廊下の幅や空調の種類など厳しい規制を課す。女性団体などが小規模な病院に閉鎖を迫るものだとして、差し止めを求めていた。
米メディアによると、以前は州内に40カ所以上あった病院は減少の一途をたどる。同州の中絶手術の待ち時間は平均16日間と大幅に長くなり、母体に悪影響を及ぼす懸念が高まったり、手術ができなくなったりしているという。
妊娠中絶を否定するキリスト教保守派の影響で、保守的な州では同様の規制を敷く例が多い。ミシガン州やテネシー州などもテキサス州と似た厳しい中絶規制法を設けている。
米大統領選の民主党候補指名が確定したヒラリー・クリントン前米国務長官(68)は同日、ツイッターに「テキサス州と全米の女性の勝利だ」と投稿し、最高裁の判断を支持した。
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