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欧州中銀、緩和維持継続 景気「下振れリスク後退」

【フランクフルト=石川潤】欧州中央銀行(ECB)は27日の理事会で金融政策の現状維持を決めた。ドラギ総裁は記者会見で「景気回復はよりしっかりしており、下振れリスクは後退している」と述べた。景気判断を一歩前進させたかたちで、市場ではECBが遠からず「出口」に向かうとの観測も浮上している。ただ物価の見通しにはなお慎重な姿勢で、当面は情勢を見極める構えだ。

「足元の景気拡大はしっかりと広がっていく」。ECBが景気見通しに自信を深めているのは、雇用と所得、消費の好循環がユーロ圏で生まれつつあるからだ。海外経済の改善も追い風で、これまで需要を抑える原因だった個人による債務返済の動きにも変化が見え始めている。

もっともECBは金融政策を直接左右する物価見通しには依然として慎重だ。ドラギ総裁は「物価の基調はなお抑制されている」という従来の発言を今回も繰り返した。

ユーロ圏の物価上昇率は2%近いようにみえるが、1年前の原油価格の急落の反動という面が強い。エネルギーや生鮮食品の影響を除いた基調でみると、上昇率は1%を下回る。

ドラギ総裁は「物価に対する見方を変えるような材料は十分に得られていない」と指摘。ECBとして物価上昇を警戒し、緩和縮小を急ぐ局面にはないという考えをにじませた。

経済は改善しているが、物価への波及の道筋が見えていないというのが現在の状況だ。ECBは今後の金融政策のかじ取りをどう進めるのか。

インフレへの警戒が強いドイツなどからは「金融政策の正常化に向けて準備すべきだ」(ショイブレ財務相)との声が目立つ。もともと異例の金融緩和政策の効果に懐疑的な関係者が多く、デフレのリスクが後退したならば金融政策も正常化すべきだという議論につながりやすい。

ECB自体もすでに3月会合の声明文から「(物価安定に向け)利用可能なあらゆる措置を用いる」との文言を削り、正常化に向けた布石を打ち始めた。今回の会合の直前にはロイター通信が関係筋の話として、ECBが6月会合で緩和解除に向けた文言変更を検討すると報じた。

ECBの金融緩和政策はマイナス金利政策、大規模な資産買い入れ、当面の緩和継続の約束を組み合わせたものだ。月600億ユーロ(約7兆3千億円)の資産買い入れは今年12月がとりあえずの期限で、年後半に向けて緩和縮小が議論になる可能性が高い。

「理事会で話し合うのは政治ではなく政策だ」。ドラギ総裁は記者会見でそっけなくこう話したが、フランスの大統領選挙、ドイツの9月の連邦議会選挙が終われば、政治的な配慮も不要になるとの見方がある。

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