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米艦の南シナ海航行、アジア同盟国から支持 比「力の均衡歓迎」

【マニラ=佐竹実】中国が人工島を造成した南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺を米海軍の駆逐艦が27日に航行したことを受け、アジアの同盟国からは支持する声が広がった。領有権問題を抱えるフィリピンのアキノ大統領は、米国の関与拡大を歓迎する考えを表明。一方で、中国との距離感を図り評価を避ける国もあった。南シナ海問題は、今後相次ぐ首脳級の国際会議でもテーマになりそうだ。

「力の均衡は、誰しもが歓迎することだ」。フィリピンのアキノ大統領は27日の記者会見で、米駆逐艦が南沙諸島の人工島の12カイリ(約22キロ)以内を航行したことについての評価を問われ、こう答えた。

今回駆逐艦が近海を航行したミスチーフ礁などは、フィリピンの西部パラワン島から約200キロの位置にある。中国はここ数年で複数の暗礁の埋め立てを急速に進めており、軍事力に乏しい比は日米などとの連携強化に頼らざるを得ない。アキノ大統領は「航行の自由など国際的ルールに基づくものであれば(米国の活動は)問題ない」として、中国けん制の動きに期待感を示した。

米国の同盟国であるオーストラリアのペイン国防相は27日に発表した声明で、米国の活動が「国際法にのっとったものだ」と評価した。南シナ海は世界の貿易の要衝でもある。ペイン氏は「豪州の輸出品の60%が南シナ海を通過する」と指摘し、同海域の平和と安定のために「米国や他のパートナー国と密接な協力を続ける」と述べた。

軍事力を背景とした中国の海洋進出を懸念する国々は今回の米海軍の行動を支持する。一方で、経済的つながりの強い中国を過度に刺激することへの配慮も垣間見えた。

韓国外務省の報道官は27日の記者会見で、駆逐艦の航行について、「そのような(内容の)報道があったのは知っているが、事実関係を把握中だ」として、直接的な評価を避けた。報道官は「南シナ海は重要な海上交通であり、航行の自由の保障などが重要だという点を一貫して表明してきた」と従来の立場を述べるにとどめた。

中国と領有権を争うベトナムやマレーシア政府も、公式の見解を表明していない。南沙諸島で最大の太平島を実効支配している台湾の国防部(国防省)高官は27日、「状況は把握している」と説明。突発的な衝突に対しての行動計画をすでに準備しているという。

今回の米国の艦船派遣は、中国の領有権主張を認めない米国の立場を鮮明にした。ただ、中国はこれに反発しており、同海域での偶発的衝突の懸念や緊張が高まった面もある。日米などの首脳が集い、11月にマニラで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)など、年末にかけて国際会議が相次ぐ。南シナ海の領有権問題に各国がどう対応するかが大きなテーマになりそうだ。

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