2019年8月21日(水)

ベトナム党書記長が留任 後任本命のズン首相は引退

2016/1/27 23:32
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【ハノイ=富山篤】ベトナム共産党は27日、2016~20年の新指導部について最高指導者のグエン・フー・チョン書記長の留任を決めた。一時は書記長就任が本命視されていたグエン・タン・ズン首相は引退する。環太平洋経済連携協定(TPP)参加を決めるなど経済重視や改革を主導してきたズン氏だが党指導部からの反発も強かったとみられる。ズン氏の降板で、ベトナムの改革のスピードが低下する懸念もある。

20日から開いていた第12回共産党大会で決定した。ズン首相、チュオン・タン・サン国家主席は引退する。新しい国家主席はチャン・ダイ・クアン公安相、首相にはグエン・スアン・フック副首相の昇格が有力視されている。かつてズン派とみられていたフック氏だが12年ごろに同派を離脱。内政・外交ともにバランスを重んじる穏健派とみられている。

今回の新指導部の人事はかつてないほど混乱した。当初、ズン首相の圧倒的有利が噂され、最高位の共産党書記長とナンバー2の国家主席を兼務するのではとの見方が広がった。中国にならったもので、実現すればベトナムで初めての体制になる予定だった。

風向きが変わったのはチョン書記長の15年7月の訪米だ。かつての敵国に足を踏み入れたベトナム共産党書記長は初めてで、南シナ海問題、TPPなどについて議論した。南シナ海での船舶による航行などその後の米国の協力的な姿勢はこのときの訪米の成果とみられ、チョン氏は地道に功績を積み重ねていた。

一方、ズン首相には性急な改革に対する党指導部の強い反発があったようだ。TPPのほか、欧州連合(EU)、韓国などとの自由貿易協定(FTA)など自由貿易を推進。その一方で国内産業の育成や国営企業の改革はうまく進められず「外資に市場を奪われて国内経済は疲弊する」(共産党幹部)との懸念も広がった。

中国からの「圧力」の存在を指摘する声もある。ズン氏は14年5月、中国が西沙諸島(英語名パラセル)へ石油掘削装置を移動した直後に「ベトナムは主権と合法的な利権を中国との虚偽で従属的な友情と交換しない」と中国への強硬姿勢を隠さなかった。党大会が迫った先月下旬にチョン氏に近いグエン・シン・フン国会議長が急きょ訪中。「中国側がズン首相の書記長就任を嫌がった」とも噂される。

一方で、首相は工業団地を認可する権限を持つことから、ズン氏は地方の政治家から人気があったが、26日に新指導部に入るために不可欠な資格である「中央委員」になれないことが決まり、ズン首相は敗北した。

新指導部は改革・開放政策「ドイモイ(刷新)」などの基本政策は継続するものとみられる。ただ、最近のベトナムはTPPを機に貿易赤字の元凶である対中貿易を縮小し、米国への接近を図ろうとしていた。その推進役として抜群の指導力を発揮してきたズン氏の失脚により、経済発展と政治改革の速度に変化が生じる可能性もある。

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