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シリア、かりそめの停戦 和平協議再開へ駆け引き

【カイロ=押野真也】内戦が続くシリアで27日、米国とロシアの仲介で一時的な停戦が発効した。大規模な戦闘はひとまず収まったもようだが、このまま長期の停戦が実現するとの見方は少ない。シリアを舞台に米ロやサウジアラビアとイランなどが「代理戦争」を繰り広げる構図は変わっていないからだ。軍事的な緊張は続いており、和平への道筋は見えていない。

27日午前0時(日本時間同日午前7時)に停戦が発効したあと、政府軍と反体制派による大規模な軍事衝突が起きたとの情報はない。激戦地とされてきた北西部のアレッポでは散発的に銃撃音が聞こえるものの、戦闘機による空爆などは確認されていないという。

米ロがシリアのアサド政権と反体制派に呼びかけて実現した今回の停戦は、2012年にシリア内戦が本格化してから初めて。停戦の対象に「イスラム国」(IS=Islamic State)や、国際テロ組織アルカイダ系でシリアを拠点とする「ヌスラ戦線」などの過激派組織は含まれていない。

停戦が発効して以降も、小規模な戦闘は続いている。反体制派によると、同派の「自由シリア軍」傘下の部隊は北西部の海岸に近いラタキアで政府軍の攻撃を受け、戦闘員3人が死亡した。同部隊の報道官は「停戦違反だ」と反発している。

それでも、停戦案を受諾したアサド政権は今のところあからさまな挑発を控え、主要な反体制派勢力がどう出るかを探っているもようだ。

反体制派勢力は26日の声明で「(アサド大統領の停戦への)誠意を確認する必要がある」と述べた。中断している和平協議の再開を探るなかで、アサド政権をどこまで信頼できるかを見極める考えとみられる。

国連でシリア問題を担当するデミストゥラ特使は26日、和平協議を3月7日に再開する意向を示した。停戦の維持が協議再開の前提となる。当面はロシアと米国、アサド政権と反体制派による駆け引きが続きそうだ。

シリア内戦の基本的な構図に変化はない。ウクライナ問題で国際的な孤立からの脱却を狙うロシアがアサド政権を支える一方、米国は反体制派を支援している。

サウジとシリアの隣国トルコは一貫してアサド大統領の退陣を要求し、アサド政権を支援するロシアやイランと対立してきた。イランとその影響下にあるレバノンの民兵組織「ヒズボラ」の支援を受けるアサド大統領が存続することに対し、サウジは今後も強く抵抗するとみられる。

26日には、サウジ空軍機がトルコの空軍基地に到着したと報道された。ISの掃討作戦のためとみられるが、停戦期限が迫る中での空軍機派遣だけに、アサド政権をけん制する狙いがあったとの指摘もある。

ロシアはISなど過激派組織の掃討を名目としながらも、実際にはアサド政権と敵対する反体制派を攻撃してきたとの批判は強い。今後もロシアやアサド政権が「テロとの戦い」を名目に反体制派への攻撃を続ければ、停戦合意は白紙に戻りかねない。

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