トランプ氏「通貨安誘導を制限」 通商協定に為替条項

2017/1/27 11:43 (2017/1/27 13:06更新)
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【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は26日、米フィラデルフィアでの共和党上下両院の集会で演説し、今後の通商交渉には「通貨安誘導に対し極めて極めて強い制限を導入していく」と表明した。日本など環太平洋経済連携協定(TPP)参加国との貿易協定は「一対一の取引になる」と2国間協議に軸足を移す姿勢を改めて強調。こうした協定の中に通貨安誘導を監視する為替条項を盛り込む考えとみられる。通貨政策を制限する国際協定は異例だ。

26日、共和党の集会に出席したトランプ米大統領(フィラデルフィア)=ロイター

トランプ政権は20日の就任直後にTPPからの離脱を表明した。米自動車業界などは「通貨安誘導の対策が不十分」としてTPPに反対してきた経緯がある。トランプ氏は新たな通商交渉でこうした米製造業の主張を取り入れる。米製造業は足元で進むドル高に警戒感を示しており、一段の通貨高をけん制する狙いもある。

TPP離脱後の通商交渉で米政権は、牛肉関税などが高止まりしている日本との自由貿易協定(FTA)交渉を視野に入れている。2月10日で調整している日米首脳会談でも通商問題が議題になりそうだ。トランプ氏は自動車分野の貿易不均衡を問題視しているが、足元で進む円安・ドル高に言及する可能性もある。

主要国間で結ぶFTAは、関税の引き下げや輸入規制の撤廃などが目的で、通貨安誘導を監視する為替条項は通常盛り込まない。TPPには協定の枠外で参加12カ国の通貨当局が定期協議する枠組みがあったが、通貨安誘導への制裁措置などはなく、米議会のTPP反対論につながっていた。

トランプ氏が想定するのは、為替介入などの通貨安誘導に対し、関税引き上げなどの制裁措置がとれる仕組みの導入だ。選挙戦では中国の通貨安誘導を批判して「45%の関税をかける」と主張してきた。日本にも「通貨安誘導が上手だ」などと言及したことがある。

もっとも、通貨水準は各国の金融政策に影響されやすく、足元で進むドル高は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速観測が原因だ。「米国第一」を掲げるトランプ氏が、貿易不均衡の解消のために通貨相場へのけん制を強めれば、市場が混乱する要因になる。

菅義偉官房長官は27日の閣議後の記者会見で「そうしたことがあっても(通貨政策を制限していない)TPPのようにまとめる」と述べ、通貨政策を制限する協定には応じられないとの認識を示した。

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