フィリピン6.8%成長 16年、送金増え消費好調
【マニラ=遠藤淳】フィリピン政府が26日発表した2016年の実質国内総生産(GDP)伸び率(速報値)は6.8%となり、15年(5.9%)から拡大した。出稼ぎ労働者からの送金が増え、GDPの7割を占める民間消費が好調だった。政府は積極的なインフラ投資で高成長を維持する考えだが、米国の保護主義政策が経済を冷やす可能性もある。
フィリピンの16年のGDP伸び率は、直近では13年の7.1%をピークに鈍化していたが、拡大に転じた。16年半ばからの対ドルでのペソ下落で出稼ぎ労働者はドル送金を増やした。1~11月の外国からの送金額は前年同期比5.2%増の243億ドル(約2兆8000億円)と年間で過去最高となる見通しで、民間消費を押し上げている。
政府は17年の経済成長率の目標を6.5~7.5%に設定。世界銀行は16年12月、フィリピンの17年の成長予測を10月時点の6.2%から6.9%に引き上げた。18年は7.0%を予測する。政府は2月にも発表する中期の経済計画でインフラ開発を柱の一つに据え、成長を維持したい考え。
懸念材料はトランプ政権下の米国との関係だ。米国では出稼ぎ労働者の3割が働き、業務受託産業の顧客企業が集まる。ドゥテルテ氏は関係改善を模索するが、米国の保護主義政策が経済を下押しする可能性がある。輸出産業に乏しく貿易赤字が拡大しているだけに、規制緩和や投資誘致策などを早期に実行する必要がありそうだ。