2018年11月18日(日)

EU法人課税ルール共通化へ 欧州委が税逃れ対策

2016/10/26 20:58
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【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)がEU加盟国の法人課税ルールの共通化に乗り出す。税制を担うモスコビシ欧州委員は26日の記者会見で、加盟国ごとにバラバラな課税ベースの算出手法や税控除の基準をEU内で統一する提案を表明した。簡素で透明な税制に改めて多国籍企業などの課税逃れを防ぐとともに、EU域内の税務コストを軽減し企業活動を活性化させる狙いだ。

欧州委員会が加盟国などに提案したのは、「共通連結法人税課税ベース(CCCTB)」と呼ぶ仕組み。EUの現行制度では、課税対象となる収益の区分や、損金算入を認める内容、設備など減価償却の評価など、企業の課税ベースの算出ルールが国ごとに異なる。

欧州委は、複雑な税制によって欧州の単一市場で国境をまたいで活動する企業の税務コストがかさみ、投資の妨げとなっているとみている。税制の複雑さを逆手にとり、課税を逃れる温床にもなっていると判断。課税ルール共通化に乗り出す。

モスコビシ欧州委員は記者会見で、新提案はEU域内での「企業活動を支援し、投資を呼び込んで成長を促す」とともに「大規模な課税逃れを阻止できる」と訴えた。

新ルールの実現には、EU閣僚理事会での加盟国の全会一致の賛成が必要となる。欧州委の提案は2段階だ。まず2019年をメドに課税ルールの共通化をめざす。さらにEU各国での損益を相殺できる「連結納税」も21年をメドに導入したい考え。連結納税が実現すれば企業はEU全体での税負担軽減が期待できるほか、EU域内での事業再編もしやすくなる。

EUは、課税ルールの共通化と連結納税を11年にも加盟国に提案した経緯がある。しかし大半の加盟国が賛成した一方で、英国とアイルランドが財政上の主権が脅かされるなどとして反発し、約5年にわたってたなざらしの状態となっていた。

欧州委が今回、再提案に踏み切った背景には、「パナマ文書」問題などが浮かび上がらせた課税逃れへの世界的な批判の高まりがある。

欧州委は国ごとに異なる複雑な課税ルールが多国籍企業による課税逃れの「抜け道」になってきたと指摘。前回の提案では共通ルールの適用を企業の判断に委ねていたが、今回は大企業への適用を義務づけた。世界総売上高が年7億5000万ユーロ(約850億円)を超える企業が対象となる。EUで事業展開する日本企業も含まれる。

さらに今回は、英国やアイルランドの反対が強かった連結納税の提案を、課税ベースの共通化の提案と切り離して「2段階」で実現する仕組みに見直した。より反発の少ない課税ベース共通化をまず優先することで、税制の見直しに向けた道筋をつける狙いがある。

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