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対シェール、続く消耗戦 産油国が減産延長合意

【ウィーン=黄田和宏】石油輸出国機構(OPEC)は25日、協調減産の9カ月間延長で合意した。8年ぶりの減産で合意した昨年11月時点では、供給過剰の解消で原油価格の上昇が続くと予想していた。誤算は予想以上のシェールオイルの増産だ。OPECは全体で目標を上回る減産を達成しているものの、加盟国の取り組みにはなお温度差がある。延長後も各国が減産を順守するかどうかという点も不透明なままだ。

1月から実施してきた協調減産では、OPECとロシアなど非加盟国の合計で日量180万バレル弱の供給量を削減してきた。当初は今秋にも世界の原油市場の需給が安定に向かうとみていたが、シェールオイルの増産により需給改善が来年にずれ込む可能性が出ている。

経済協力開発機構(OECD)加盟国における石油の商業在庫は3月時点で30億バレル超で高止まりしており、OPECが目指す過去5年平均(28億バレル弱)とは乖離(かいり)する。OPECは原油相場の安定には過剰在庫の圧縮が不可欠とみており、減産延長の必要性を共有した。

ただ、市場の調整を早めるための減産量の拡大への機運は盛り上がっていない。減産延長により現状を維持し、これ以上の痛みを伴わず、ひとまず様子見する方針だ。減産でOPECと協調する非加盟国ロシアのノワク・エネルギー相は「9カ月の延長に加えて、さらに3カ月の延長も選択肢」と述べ、シェールとの消耗戦には時間がかかるとの見通しを示す。

足元ではシェールの増産だけでなく、OPECの減産効果を弱める内部要因も浮上している。OPEC第2の産油国イラクがなお減産に消極的で新たな「問題児」となっているのだ。総会前の22日、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が急きょバグダッドを訪問して説得したことで、イラクは同調姿勢を示した。ただ、これまでイラクは目標を順守しておらず、4月時点でも達成率は9割にとどまっている。

減産の適用を免除されている、リビアとナイジェリアの生産も回復傾向にある。9カ月間延長が決まったことで両国の生産が一段と回復し、加盟国の減産効果をそぐ恐れがある。リビアの生産量は直近で一時日量80万バレルに回復し、昨年末の60万バレル前後から増えている。

減産延長の原油相場への影響について、市場関係者の見方は分かれている。原油相場は足元で回復傾向にあり、国際指標の北海ブレント原油先物の期近物は1バレル54ドル前後で推移する。米シティグループのクリストファー・メイン氏は、9カ月間の減産延長で市場の期待に応えることで「年末にかけて60ドルに向けて上昇する」と予想する。

一方、独コメルツ銀行のユージェン・ワインバーグ氏は、夏場の需要期に生産量を据え置くと、米国にシェアを奪われる恐れがあるため、OPECが生産を増やすのではとみる。このため「年後半は減産の達成率が低下するおそれがある」と指摘。市場の失望を招き、原油価格は50ドルに下落するとみている。

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