2019年2月16日(土)

エジプトで反政府デモ 領有権巡る発表に抗議

2016/4/26 0:03
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【カイロ=岐部秀光】政府を批判する集会などを厳しく取り締まってきたエジプトで25日、シシ大統領の政策に抗議する異例のデモが開かれた。今月15日のデモとあわせシシ政権下では最大の抗議運動とみられる。首都カイロのタハリール広場などでは軍や警察が早朝から警戒にあたった。

25日のデモは左派政党やイスラム主義者の団体が呼びかけた。政府による今月上旬の「サウジアラビアとエジプトの間にある2つの島の領有権がサウジにある」との発表に抗議するのが目的。参加者は物価高や深刻な失業問題に対応できない政府の経済政策や言論統制にも矛先を向けている。

シシ政権はイスラム過激派に対する取り締まりで治安の回復に一定の成果をあげた。一方でメディア規制や抗議集会の禁止などの厳しい言論統制には内外から批判の声が向けられている。

シシ大統領は24日のテレビ演説で「悪の力から国を守らなければならない」と述べ、デモを計画したグループを批判。「安全と安定を守るのは我々の責任だ」と訴えた。

チラン、サナフィルの2島の領有権がサウジにあるということは4月上旬のサウジのサルマン国王によるエジプト訪問の際に唐突に発表された。政府はこれまで2島をエジプトの領土として扱っていたが「もともとサウジの領土だったものを返還することに決めた」と説明している。

エジプトはサウジからの援助を頼みとしているだけに国民の一部は「領土をカネで奪われた」と受け止めている。

経済政策への不信感も大きい。エジプト経済は相次ぐテロで、主要産業の観光が大きな打撃を受け、外国企業の投資も回復が進まない。通貨を段階的に切り下げざるを得ず、輸入品の値上がりを通じた物価高が庶民生活を直撃している。

人口8千万人強で中東最大の国であるエジプトでは2011年の民主化運動「アラブの春」で長期政権を強いたムバラク大統領が辞任に追い込まれた。その後、選挙で選ばれたモルシ政権も厳格なイスラム主義を導入したことなどに人々が反発して解任に追い込まれた。

今回のデモが政権転覆に直結するとの見方は少ない。隣国リビアの混乱やシリアの内戦長期化を目にした国民の多くは、政治混乱よりも治安の安定を求めている。

しかし、強力なリーダーシップで秩序をもたらした実績を強調してきたシシ氏の威信低下は否定できない。政権の運営に国民の不満が高まっていることも浮き彫りになり、強権的な手法で維持してきた安定が見た目ほどではない可能性を印象づけている。

エジプト領のシナイ半島では過激派組織「イスラム国」(IS)に賛同する勢力が「イスラム国シナイ県」を自称するなど、過激主義思想が広がっている。欧米諸国はシシ政権による言論統制を批判しながらも、テロ対策では防波堤としての役割を重視している。

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