トルコ、権力基盤強化へ強硬策 クルド武装組織を空爆

2015/7/26付
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【イスタンブール=佐野彰洋】トルコ政府は24日深夜、過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)に加え、同国の非合法武装組織、クルド労働者党(PKK)に対する空爆を実施した。国内の治安悪化リスクを冒してまでPKKとの和平路線を転換した背景には、国境を接するシリア北部でクルド人勢力が台頭するのを抑える思惑がある。

トルコ政府はISへの第2波攻撃となる24日深夜の空爆で、イラク北部の山岳地帯にあるPKKの拠点も対象とした。トルコ国内では24日以降、警察によるISやPKK関係者の大量拘束が続いている。

トルコがこれまで、米軍主導の対IS有志連合の軍事行動と距離を置いてきたのは、シリアのアサド政権打倒を優先すると同時に、ISとの戦いでシリアやイラクのクルド人勢力が弱体化することを期待していたからとされる。

シリア北部ではPKKの兄弟組織が米軍の支援も受けて支配地域を広げており、IS掃討でクルド人勢力が影響力を拡大すれば、国内の分離勢力を刺激しかねないという事情があった。エルドアン氏は24日「オバマ米大統領にはPKKも攻撃対象になりうると伝えた」と語っていた。

国内の政治状況も背景にある。2002年から単独政権を維持してきた第1党の公正発展党(AKP)は6月の総選挙で過半数割れした。

第2党の共和人民党(CHP)との間で連立協議が始まったが、AKP出身で憲法の制約を超えて最高権力者として振る舞うエルドアン氏の処遇などを巡る溝は大きい。8月下旬の組閣期限までに協議がまとまらず「再選挙となる可能性が高い」(CHPのクルチダルオール党首)との指摘もある。

再選挙となった場合、AKPが過半数の議席を獲得して単独与党に返り咲くには、6月に獲得した40.8%からの3~4ポイント程度の得票の上積みが必要となる。AKPにはPKKへの空爆を実行することで、クルド和平に反対する右派層の支持を獲得する狙いもあるとみられる。

ロイター通信によると、PKKは「空爆によって休戦はもはや意味を失った」との声明をホームページで発表した。PKKが1980年代から繰り広げた、分離独立闘争では4万人以上が犠牲になった。権力基盤の強化を狙った強硬策は、テロや誘拐など国内治安の悪化を招きかねないもろ刃の剣でもある。

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