韓国、1兆6500億円超の景気対策 MERSの打撃緩和

2015/6/25付
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【ソウル=加藤宏一】韓国政府は25日、総額15兆ウォン(約1兆6500億円)を超える景気対策を近くまとめると発表した。中国経済の減速や通貨ウォンの対円相場上昇で輸出が落ち込むなか、中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の感染拡大で消費が冷え込み、景気の低迷が長引いている。大型の景気対策を打ち出し、輸出や内需をてこ入れする。

政府は25日、2015年の経済成長率見通しを従来の3.8%から3.1%に下方修正した。崔炅煥(チェ・ギョンファン)経済副首相兼企画財政相は記者会見で「輸出が不振の中でも内需と資産市場を中心に改善の動きがみられた韓国経済にMERSによる衝撃が加わり、警告灯がともっている」と述べた。

輸出は5月まで5カ月連続で前年実績を割り込み、不動産や株式市場の回復から改善がみられた消費者心理もMERSの影響で悪化している。韓国経済の潜在成長率は3.5%前後とされるが、政府は景気対策を実施しない場合、15年の成長率が2%台に落ち込むとみており、崔氏は「3%台を維持するために最善を尽くす」と強調した。

朴槿恵(パク・クネ)大統領は同日の閣議で「景気対策を含む適正な水準の補正予算を通じて景気安定の方策を準備すべきだ」と指摘。「景気対策が最大限、効果を発揮するように可能な限り早く事業規模と内容を確定してほしい」と指示した。

景気対策の具体的な中身は今後詰めるが、輸出や投資分野では主に新市場への輸出を検討する中小企業を念頭に、政府系の韓国輸出入銀行を通じた資金支援を検討する。アジアインフラ投資銀行(AIIB)の発足をにらみ、中国や東南アジアで膨らむインフラ需要の受注獲得に向けて官民の協力拡大を促す取り組みも進める。

内需の活性化では、建設投資の拡大を狙って年金基金や民間資本、政府系の韓国産業銀行などが共同でインフラ事業に投資する仕組みをつくる。零細自営業者の経営安定化に向けた支援策や、非正規労働者を正規労働者に転換した企業に優遇策を与える制度の導入なども盛り込む。

昨年8月に始め、7月末に期限を迎える不動産融資規制の緩和策はさらに1年延長して不動産市場を下支えする。一方で、融資規制の緩和や韓銀の相次ぐ利下げを受けて、3月末で1099兆ウォンと過去最高のペースで膨らむ家計負債の抑制策もまとめる計画だ。

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