クルド自治区で住民投票実施 イラクからの独立是非問う
【アルビル(イラク北部)=飛田雅則】イラクのクルド自治区でイラクからの独立の是非を問う住民投票が25日午前8時(日本時間同午後2時)に始まった。投票所では投票開始前から行列する人々の姿が見られた。24日の記者会見でクルド自治政府のバルザニ議長は「独立への長い道のりの第一歩となる」と強調した。米国や隣国トルコやイランなどは投票実施に反発している。

「独立投票に賛成を」。クルド自治区の中心都市アルビルは25日の投票を呼びかける看板が並ぶ。クルド自治政府の旗もあちこちに掲げられ、街は投票を歓迎するムードに包まれた。両替商のファルマン・ハマドさん(34)は「人生の中でもっとも幸福な時。クルドの新たな時代が始まる」と興奮気味に話してくれた。
小学校の投票所で独立賛成票を投じたニヤズ・タヘルさん(32)は「これまで迫害に耐えてきた。今日はクルド人のお祝いの日だ」と語った。住民投票は独立への賛成が多数になる見通しだ。ただ、イラク政府は反発しており、周辺国にクルドとの原油取引の停止を求めた。イランは同自治区への航空便の乗り入れを停止するなど制裁措置を実施。投票の実施が地域の不安定化を招く懸念がある。