2018年12月18日(火)

将来像なきEU崩壊懸念 ローマ法王、首脳らに結束求める

2017/3/25 8:57
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【ローマ=森本学】英国を除く欧州連合(EU)27カ国の首脳らは24日、ローマ法王庁(バチカン)を訪問し、法王フランシスコと会談した。法王は域内で勢いづくポピュリズム(大衆迎合主義)で揺らぐEUに対し、新たな将来像を描けなければ「長期的には死に向かうリスクにさらされる」と結束を呼び掛けた。27カ国首脳は25日、ローマで首脳会議を開き、英離脱後のEU将来像を協議する。

ローマ法王庁を訪問したEU首脳らと記念撮影するローマ法王フランシスコ(24日、バチカン)=AP

EUの礎を築いた「ローマ条約」の調印から60周年を迎える25日、EU27カ国の首脳らはローマで開く首脳会議で、英離脱後のEUの将来像を打ち出す「ローマ宣言」を採択する。ローマ法王との会談はそれに先だって開かれた。EU側からはトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長、タヤーニ欧州議長らEU機関トップと27加盟国の首脳らが参加した。

欧州メディアによると法王は「組織が方向性を失い、将来に備えることができなくなれば退化し、長期的には死に向かうリスクにさらされる」と訴えた。域内で勢いづく「反移民」を掲げたポピュリズムや極右勢力などを非難し、欧州大陸が「価値観の喪失」に直面していると指摘。最も効果的な対策は「各国が結束することだ」と求めた。

EU高官は25日のローマでの首脳会議を「英を除く27カ国による新生EUが誕生する瞬間」になると位置づける。首脳らは英離脱後のEUの結束力を再確認するため、過去60年に達成してきた成果を振り返り、今のEUが直面する課題を整理し直し、今後の将来像を共有することを目指す。

会合で採択を目指す「ローマ宣言」の目玉となるのが、今後の欧州統合の進め方だ。独仏など欧州統合の原加盟6カ国は「マルチ・スピード欧州」などと呼ばれる統合速度の多様化をEU再建の打開策として支持する。防衛や税制など特定分野で、統合をさらに深めることに慎重な国がいる場合に、一部の"有志国グループ"が先行して統合を前進させることを認めようという発想だ。

事務レベルで準備した宣言の素案では「欧州は不可分だ」としつつも、EUは「必要な場合には異なるペースや強度で」行動すると明記。統合速度の多様化をにじませる表現を盛り込んだ。ただ統合多様化を巡っては、中東欧などから、容認すれば「二流国」として置き去りにされかねないとの批判が根強い。

ローマ宣言の素案づくりではこうした声に配慮し「後から加わりたい国々へのドアは開いている」などとの表現を明記。それでもローマ宣言が多様化を認める内容になれば「EUに混乱をもたらす」(ポーランドのシドゥウォ首相)と反発の声もくすぶっている。

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