2019年5月25日(土)

産油国が追加減産策 ナイジェリアは生産上限、サウジ輸出抑制

2017/7/25 0:56
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【サンクトペテルブルク=黄田和宏】石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国は24日、1月から実施中の協調減産の追加策を決めた。減産適用を免除しているナイジェリアが自主的に生産上限を設けるほか、サウジアラビアは短期で輸出を抑え、需給引き締めを狙う。必要に応じ、来年3月以降も減産を再延長する。年後半には供給増要因も多く、過剰供給の懸念はくすぶる。

今回の閣僚会合にはOPEC議長国のサウジのほか、協調減産の監視委員会の構成国であるロシアなど5カ国が参加した。武装勢力による攻撃で生産量が落ち、減産を免れているリビアとナイジェリアの今後の処遇などを中心に話し合った。

2カ国の生産量は足元で回復傾向にあり、6月は昨年12月時点に比べ合わせて約50万バレルを増産した。今回の会合ではナイジェリアが正常化の目安となる日量180万バレルに達した後は生産量に上限を設けることを確約。一方、リビアは安定生産へのなお回復途上として、当面は同125万バレルを目標に増産継続を認めた。

サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は会合後に記者会見し、今回の対応で「増産の上限は限られる」と強調した。ただ、2カ国が上限とする水準まで増産すれば供給はさらに50万バレル近く増え、2カ国を除くOPEC加盟国全体の減産量の合計である約120万バレルの効果を大きく打ち消す。ファリハ氏は増産の影響を和らげるため、サウジ自ら「8月は輸出を660万バレルに抑える」とした。前年同月に比べ約100万バレルの削減で、市場の需給改善を促す。

もっとも、年後半にかけては供給増要因が多い。北欧の銀行大手ノルデアによると、石油タンカーの追跡データでは7月のOPECの原油生産量は1月の協調減産の開始以降の最高水準を更新する見通し。6月の日量3261万バレルを上回り、約3300万バレルに達するとの別の観測もある。例外の2カ国に加え、一部の加盟国が減産目標を順守していないためだ。

協調体制にも乱れが目立ち始めた。エクアドルは今月半ば、財政難を理由に協調から離れて増産する考えを表明した。同国はOPECの中では生産量が少なく影響は限られるがイラクなど減産に消極的な国の協調機運をそぐおそれがある。非加盟国ではカザフスタンが協調を逸脱。国際エネルギー機関(IEA)によると6月の生産量は割当量を約3万バレル上回り、1月からの累計でも減産に貢献していない。今回の会合では減産の進捗の遅れている産油国に改善を求めることを確認した。

一方、米国のシェールオイルの増産は続いている。米エネルギー情報局(EIA)の予測では、シェール生産は8月に558万バレルに達し、2007年の統計開始以降の最高水準に達する見通し。

米モルガン・スタンレーの石油アナリスト、マルタイン・ラッツ氏は「原油市場は再びすべての参加者がおおむね等しく不幸になる価格に落ち着く」と指摘する。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は来年半ばまで1バレル50ドル以下の水準にとどまると予想。同水準ではシェール増産は緩やかになる一方、OPECが減産を撤回するには十分でないとみる。

OPECは9月に次回の監視委員会の閣僚会合を開く予定。原油市場の需給改善が予想通りに進まなければ、会合を前倒しで開く可能性もあるという。また、必要に応じて今の協調減産の期限である来年3月以降も減産を再延長する方針だ。ただ、シェールにシェアを奪われる懸念から減産幅の拡大には慎重で、原油価格引き上げに向けた取り組みは難航しそうだ。

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