2018年7月19日(木)

米新政権、「有言実行」の試金石に NAFTA再交渉へ

2017/1/23 20:58
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 【ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領が公約に掲げてきた北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉が早くも始まる。31日のメキシコのペニャニエト大統領との会談を皮切りに、米国に有利な協定に見直すよう直接圧力をかける考えだ。再交渉の行方はトランプ政権の「有言実行」が問われる試金石となる。

 「我々はとてもよい結果を得られると思う」。トランプ氏は22日に開いたホワイトハウス幹部の就任式で、メキシコ、カナダと近く開く首脳会談でNAFTAの再交渉を始めると宣言。特に重視するメキシコとの交渉を楽観視してみせた。

 31日にワシントンで開くメキシコとの首脳会談は、トランプ氏が再交渉での要求にどこまで踏み込むかが焦点だ。「メキシコへの工場移転や雇用流出を止める」と意気込んできたが、NAFTAをどう見直したいかは詳しく明かしていない。

 次期商務長官のロス氏は18日の米上院委員会の公聴会で「雇用や環境の規制などすべてが交渉の対象になる」と指摘した。労働者や環境の規制で米国並みの水準を求めれば、メキシコの生産コストが上がり、相対的に米国の競争力が高まる。ゼロ関税の恩恵を受けるのに必要な域内の部品調達比率を米国に有利になる形で引き上げるよう求める可能性もある。

 カナダのトルドー首相とも近く会談する予定で、再交渉での米側の要求を説明する見通し。

 トランプ氏はあの手この手で再交渉を有利に進めようとしている。31日のメキシコとの首脳会談では「移民や国境の治安も協議する」という。不法移民の流入を防ぐため国境沿いに建てるとされる「壁」の費用負担を求めるとみられる。再交渉の結果が米国の利益にかなわなければ離脱を通知するほか、メキシコに移った企業に「国境税」を課す方針も示しており、脅しをかけながら譲歩を引き出す戦略が透ける。

 狙い通りに再交渉が進むかは不透明だ。関税引き上げで強硬姿勢を貫けば米国経済にも悪影響が及ぶ。メキシコやカナダにも米国の政府調達市場の開放を迫るなど取引材料がないわけではない。メキシコが移民政策で譲歩する案も取り沙汰される。国境の警備強化などで一定の負担を受け持ち「メキシコの負担で壁を建てた」とトランプ氏に花を持たせる案だ。

 これまでもNAFTAは米新政権の出だしを左右するテーマとなってきた。大統領選挙に勝つために持ち出した保護主義的な政策を実現できるかが早速試されるからだ。

 2009年1月に就任したオバマ前大統領も選挙中に雇用保護を訴えてNAFTAの見直しに言及。就任約1カ月後に開いたカナダとの首脳会談で労働者や環境の規制強化を求めたが、米国の閉鎖的な政府調達方針を巡って対立し、NAFTA見直しの議論が滞った。メキシコとは米国が同年3月に運送トラックの乗り入れ協定を破棄したため、メキシコが報復関税をかける事態に発展した。

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