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ドイツ銀、米司法省と和解 8500億円支払い

米住宅ローン証券問題

【ベルリン支局】ドイツ金融大手のドイツ銀行は23日、米国での住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売問題を解決するため、72億ドル(8500億円)を支払うことで米司法省と和解したと発表した。当初は140億ドルと見積もられていたが、ほぼ半減した。これにより信用不安が深まる事態は避けられたが、経営再生にはなお時間がかかる。

72億ドルのうち、31億ドルを民事上の制裁金、41億ドルを米国での消費者救済に充てる。2016年10~12月期に11億7000万ドルのコスト増となるものの、同行は「業績に大きな影響があるとは考えていない」としている。

この問題を巡っては9月に米司法省が140億ドルという巨額の和解金の支払いを求めたことが明らかになり、経営への負担が懸念されていた。金融市場では公的資金が必要になるとの臆測も飛び交い、同行の株価が急落する騒ぎに発展した。

制裁金が大幅に圧縮され、信用不安はひとまず下火になり「公的資金の注入」といった観測は後退しそうだ。同行は和解金支払いなどに充てるため、59億ユーロ(約7200億円)を用意している。

ただ同行の再生が終わったわけではない。コストを削減するために取り組んでいるグループ会社の整理・再編や、店舗網の縮小などは道半ばだ。個人顧客向けのサービスでは富裕層に軸足を移しつつあるが、効果が表れるのには時間がかかる。気がかりなのは業績を左右する欧州景気が波乱含みなことだ。選挙ラッシュを控えた欧州では政治リスクが意識され、景気の不透明感が払拭できない。

米司法省はこのほか、スイスの金融大手、クレディ・スイスとも罰金など52億8000万ドルの支払いで合意した。民事の制裁金で24億8000万ドル、被害者への救済金で28億ドルをそれぞれ支払う。

一方で英金融大手バークレイズをニューヨーク連邦地裁に提訴した。対象はバークレイズが金融危機前の2005~07年に扱ったMBS。同省はずさんな審査に基づく住宅ローンをまとめた商品を、リスクを十分に説明せずに顧客に不正に販売したとみている。

米司法省が相次いでこうした措置を取るのは、トランプ次期米大統領への政権移行を前に金融危機を巡る責任追及の決着を急いだためだとみられる。新政権の姿勢が不透明ななかで危機の「負の遺産」の処理に焦っているようだ。

オバマ政権は危機の再発防止とともに、危機のきっかけをつくった金融機関の責任追及も重視してきた。とくにMBSの不正販売については、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)が拡散した元凶と位置づけ、司法当局は強い態度で米国内外の金融機関を捜査してきた。

トランプ氏は金融規制の緩和をうたっており、政権移行後にやって来る司法当局の新たな幹部らが責任追及の手を緩める可能性も指摘されている。当局としては、現政権のうちにできるだけ決着を急ぎたいという思惑が働いているもようだ。

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