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NPT、最終文書採択できず閉幕 中東の非核化で溝

【ニューヨーク=高橋里奈】国連本部で約1カ月にわたって開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は22日、最終文書を採択できないまま閉幕した。事実上の核保有国であるイスラエルを念頭に置いた中東の非核地帯化を巡る米英と中東諸国の協議が難航、文書のとりまとめに失敗した。NPT体制は形骸化の瀬戸際にあり、オバマ米大統領が提唱した「核なき世界」への機運は後退した。

最終文書案の採択は全会一致が原則だ。5年に1度開かれるNPT会議で最終文書の採択に失敗するのは、米国とイランが対立した2005年以来、10年ぶり。原爆投下から70年の節目の年に、国際社会が団結し目に見える「成果」を残すことはできなかった。

会議では最終局面まで中東の非核地帯化を巡る議論が紛糾した。事実上の核保有国であるイスラエルに配慮する米英などに対し、エジプトやイランなどが強い不満を表明した。

イスラエルはNPTに未加盟だが、周辺の中東諸国は非核化を促す国際会議の早期開催を求めている。前回の10年に合意した最終文書では12年に国際会議を開くことになっていたが、イスラエルの抵抗で開かれていない。

最終文書案に「16年3月1日までに、すべての中東諸国を招く国際会議を開くよう国連事務総長に委任する」という文言が盛り込まれたことについて、米英カナダは「会議開催の期限を区切るべきではない」「非現実的で不可能」などと強く反発した。

また、オーストリアやメキシコなどは「核兵器の非人道性」を強調して「核兵器禁止条約」の交渉開始に具体的な道筋をつけるよう求めてきたが、最終文書案では同条約については言及されずじまい。核弾頭の保有数の報告や核廃絶に向けた期間設定など、具体的に核保有国に核軍縮の行動を義務付ける表現もなかった。加盟国代表からは合意に至らず「とても残念で遺憾だ」との声が相次いだ。

核軍縮・不拡散で合意できなかったことでNPT体制が骨抜きになり、ウクライナや中東などで地政学的リスクが高まる恐れがある。核兵器の削減に具体的な行動を義務付けられなかったことは、ロシアや中国がさらなる軍拡を加速させるリスクもはらむ。

一方、日本が提案した「世界の指導者に広島・長崎への訪問を促す」とする最終文書の素案に入っていた文言が、中国の要請で削られた。日本は記述復活を求め中国との協議を継続。結局、「核兵器の被害を受けた人や地域社会の経験を直接共有し、交流することを通して核軍縮・不拡散の教育を強化、継続する」との文言を盛り込むことで折り合った。

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