米ファイザー、アラガンと経営統合へ 製薬最大手に

2015/11/23 17:57
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 【ニューヨーク=高橋里奈】米製薬大手のファイザーがアイルランドに本社を置く同業のアラガンと経営統合することで大筋合意したことが明らかになった。複数の欧米メディアが22日報じた。実現すればスイスのノバルティスを抜き世界最大の製薬企業になる。規模のメリットを発揮する一方で買収後の本社を法人税率の低いアイルランドに移し、租税を回避する狙いもあるとみられる。

 両社は近く発表する見通し。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、M&A(合併・買収)の金額は1500億ドル(約18兆4千億円)を超える見込み。製薬業界では過去最大規模で、ビール最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)による710億ポンド(約13兆2千億円)での英SABミラーの買収を超える今年最大のM&Aになる。

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 ファイザーは今年9月に約170億ドルを投じた後発医薬品7位の米ホスピーラの買収を完了したばかり。アラガンも米アクタビスが旧アラガンを買収し2015年に社名を変更した。アラガンはしわとりのヒット薬「ボトックス」やドライアイの治療薬に強みを持つ。統合後の新会社はがん治療薬から美容分野まで幅広い製品をそろえる巨大製薬会社になる。ファイザーは医薬品のラインアップをひろげることで、高脂血症治療薬「リピトール」や高血圧症治療薬「ノルバスク」など主力薬の特許切れや後発薬メーカーの追い上げによる減収を補う。

 もう一つの狙いは租税回避とされる。形式上は規模の小さいアラガンがファイザーを買収する格好をとると見られる。本社を法人税率が35%と先進国で最高水準の米国から12.5%のアイルランドに移すことで節税を図るもようだ。ファイザーのイアン・リード最高経営責任者(CEO)もかねて税率が高い米国から国外に本社を移し、合法的に租税回避を実現する狙いを示唆してきた。

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 製薬業界では大型のM&Aが相次いでいる。主力品の特許切れが相次ぎ、後発薬メーカーとの競合も激化。自前での規模拡大が望みにくくなった環境下で各社はM&Aにより局面打開を図ろうとしている。7月には後発薬最大手のテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(イスラエル)がアラガンから後発薬事業を405億ドルで買収することで合意するなど事業分野レベルでの再編も続いている。調査会社ディールロジックによると、世界の製薬業界のM&A総額は15年に3千億ドル近くに達し、過去最高を更新する見通しだ。

 米調査会社IMSヘルスによると、世界の医薬品市場は2020年に1兆4千億ドルと現状から約3割拡大する見通し。日米欧など先進国と新興国の格差が縮まり、中国、インド、ブラジル、インドネシアなどの需要の伸びが支える。同時に、ファイザーなど欧米製薬大手が収益源としてきた米国では後発医薬品が3割以上増える見込みで、各社は収益モデルの転換を迫られる。

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