2019年2月22日(金)

米政府、租税回避に対抗措置 海外企業買収を監視

2014/9/23付
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【ワシントン=矢沢俊樹】米財務省と内国歳入庁は22日、米企業が米国の法人税を軽減する目的で海外企業の買収に動くことへの対抗措置を発表した。海外で稼いだ利益について、税金のかからない「融資」などの形で買収先企業に移転するのを取り締まる。監視強化で海外移転の利点を薄める狙いだ。同省はより強い追加措置の検討も示唆しており、米企業の国際的な再編や税務戦略にも影響を及ぼしそうだ。

ルー財務長官が同日夕に税務ルール変更の告示を公表し、即日発効した。米企業は海外の利益を米本国に「配当」として還流しようとすると高い連邦法人税が課される。ところが米には戻さず、自社の海外子会社から買収した先の外国企業に直接、「短期融資」などの形で資金を移せば課税されずに済む。

こうした融資は本国を巧妙に飛ばして別の会社に利益を移すことから、伝統的な遊びになぞらえて「石蹴り」と呼ばれる。米議会調査によると米ヒューレット・パッカードなどが過去に同様の仕組みで課税回避したとされ、米当局の監視が十分行き届かなかった。

米財務省の新ルールでは、意図的に「融資」の形で海外の買収先へ流した利益についても事実上の「米国の資産」とみなし、米当局が課税する。

米当局の監視を逃れるため、利益をプールする海外子会社の支配権を外国の買収先企業に移管する企業も多い。今回の新ルールでは、仮にこうした会計操作をしても海外子会社に米の徴税権が及ぶようにする。

外国の買収先企業が米の海外子会社に自社株を売って巨額の資金を得るといった「抜け穴」もふさぐ。米当局が海外での資金の動きに監視の網をかけることで、米企業が租税回避に利点を感じなくさせることが規制の大きな狙いといえる。

大手企業の相次ぐ租税回避は2012年秋ごろから米議会でも問題視されてきた。今年8月下旬には米ファストフード大手バーガーキング・ワールドワイドがカナダのコーヒー・ドーナツチェーンを買収することで合意。両社は租税回避の意図を否定するが、オバマ政権は「税収の流出が加速しかねない」として包括策のとりまとめを急いでいた。

22日の声明でルー長官は課税逃れを強く非難したうえで「税に関するほかの国際協約や租税協定にも照らし合わせてさらなる対応策の検討を続ける」と強調。外国政府とも連携しながら企業への締め付け圧力を一段と強める構えを示しており、欧州諸国や租税回避地(タックスヘイブン)なども一定の対応を迫られる可能性がある。

ただ、米連邦法人税が最高35%と国際的にみて高いことが課税回避問題の根本との指摘は多い。オバマ政権の思惑通り租税回避の流れにブレーキがかかるかは不透明だ。米当局による外国での税務調査権限など高いハードルも立ちはだかる。オバマ大統領やルー長官は租税回避阻止に向けた抜本策を目指し米議会の立法措置を求めているが、野党・共和党の反発は根強く、協議の機運は盛り上がっていない。

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