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EU各国、地中海難民受け入れで調整難航

【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)が地中海を渡って欧州を目指す不法移民や難民の受け入れに苦慮している。EU首脳会議は6月下旬、イタリアやギリシャに集中する難民の受け入れを加盟国で分担することで合意したが、具体策の交渉は難航している。EUは詳細を固める期限を当初の7月末から年末に変更したが、交渉がどこまで進むかは未知数だ。

国際移住機関(IOM)によると、欧州へ地中海経由で渡った移民や難民は7月中旬時点で約15.9万人に達した。船舶の転覆などによる海上での死者数は1914人に及び、4月にはリビア沖で約900人を乗せた密航船が転覆する事故も起こった。

強制送還できる不法移民と異なり、政情不安を背景にした難民の保護対策は急務で、EUが緊急首脳会義で対策を打ち出す事態となった。

EUの緊急対策の柱のひとつが、地中海沿岸のイタリアやギリシャに負担が偏る難民受け入れを加盟国で分担することだ。欧州委員会は今後2年間で4万人の難民をイタリアとギリシャから他の加盟国へ移送することを提案。当初は経済規模などに応じて、受け入れ人数を強制的に各国へ分配する「割当制度」の導入を検討したが、各国の強い反対に遭い、自主申告に切り替えた。

ただ、20日の法相・内相理事会で各国からの受け入れ人数の申し出は計3万2千人強どまり。目標の4万人に届かなかった。決着は年末まで持ち越しとなった。

内訳をみると、ドイツの1万500人、フランスの6752人、オランダの2047人の3カ国で、全体の約6割を占めた。いずれも欧州委が当初求めていた受け入れ人数を満たした。

受け入れを一切拒んだのがハンガリーとオーストリアだ。ハンガリーはバルカン半島経由の不法移民の流入に悩む。隣国セルビアとの国境に"壁"の建設準備を閣議決定するなど、移民受け入れの制限を強めている。そのハンガリーからの移民が急増しているオーストリアは、ハンガリー国境での国境管理を復活させる方針を示唆している。

欧州委の高官によると、他にもポーランドやスロバキア、スロベニアなど東欧諸国、エストニアなどバルト3国、スペインなどが難民の受け入れ分担に消極的だ。ポーランドはウクライナからの移民・難民の急増を懸念している。

欧州委は各国が自主的に受け入れを申し出た3万2000人について10月以降、各国への難民の移送を始める方針だ。目標達成へ残る約8千人の分担についても、引き続き加盟国に受け入れを働き掛ける。年末までに合意にこぎつけたい考えだが、調整は難航が必至だ。

「我々は問題解決の責任を共有している」(EUのトゥスク大統領)。4月の緊急首脳会義で、首脳らが盛んに強調した欧州の"結束"は、対策の具体化が進むにつれて、むしろ揺らぎが目立ってきた。

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