英EU離脱巡り最後の大型討論 23日国民投票
【ロンドン=原克彦】23日に欧州連合(EU)からの離脱の是非を巡る国民投票を控えた英国で、離脱派と残留派が21日、投票前の最後の大型イベントとなる討論会に臨んだ。最大の争点に浮上した移民政策について離脱派が「脱EUで賃金は上がる」と主張したのに対し、残留派は「移民は経済・文化で恩恵をもたらした」と反論。離脱派の説明に残留派が「ウソだらけだ」と強く攻撃する場面もあった。
BBC主催の討論は保守とリベラルを交えた3人ずつが両陣営を代表し、来場者らの質問に答える形で進行。離脱派のジョンソン前ロンドン市長は「移民が賃金を押し下げた」「EUが雇用を破壊している」などと述べ、繰り返し「権限を取り戻そう」と呼びかけた。
一方、残留派の一人として登場したカーン・ロンドン市長は「医療、教育、建設などが成り立つのは移民のおかげ。感謝している」と語った。他の残留派も「離脱派の移民制限には具体的な計画がない」と批判した。
経済では残留派が貿易への悪影響を唱えた。対する離脱派は「EUの貿易交渉は最低」「英国は単独でもっと上手に交渉できる」と反論した。
離脱派が移民抑制を求める根拠として「トルコのEU加盟が間近」と述べたのに対し、残留派は「EU加盟国は新規加盟を拒否できる」とし「デマで不安をあおっている」と責める場面もあった。
経済、移民政策と並ぶ論点である「世界での位置づけ」では、離脱派は欧州の平和はEUではなく北大西洋条約機構(NATO)によって実現したものだとの見方を強調。残留派はNATOも英国にEUに残ることを求めていると指摘した。