米政権、鉄鋼輸入巡り調査 中国念頭「雇用失った」

2017/4/21 10:22
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【ニューヨーク=稲井創一】トランプ米政権が鉄鋼輸入規制に向け動き出した。20日、トランプ大統領は大量の鉄鋼輸入が米国の安全保障を脅かしている懸念があるとして、米通商拡大法に基づいた鉄鋼輸入の実態調査を米商務省に指示した。調査の結果、中国など鉄鋼輸出国に対する新たな関税措置の発動につながる可能性がある。

20日、鉄鋼製品の輸入調査を命じた大統領令を掲げるトランプ氏(ワシントン)=ロイター

トランプ氏は20日、大統領令に署名し、「鉄鋼は米経済と米軍の双方に欠かせない」と述べた。輸入鋼材のダンピング(不当廉売)の事例を踏まえて、米国の安全保障への影響を調査する。30~50日で調査を完了させるという。

ウィルバー・ロス商務長官は20日の会見で、輸入鋼材の米国内でのシェアは26%以上あるとして、米国の鉄鋼工場の稼働率は71%にとどまっていると指摘した。稼働率が低い分、米国人の雇用機会が損なわれるとの見方から、トランプ氏は「長年、米国は不公平な貿易により雇用や工場を失ってきた」と雇用上の問題点を強調した。

今回の措置の前提となる通商拡大法は「国家安全保障」を理由に貿易制裁を科すことを認めている。選挙期間中から米中西部のラストベルト(さびついた工業地帯)の雇用回復を訴えてきたトランプ氏にとって、公約の達成に向けた具体的な施策の一環と言える。

トランプ政権はかねて過剰生産能力を解消できない中国からの安価な輸入鋼材を問題視してきた。トランプ氏は調査の結果、制裁を科す可能性がある国について明言はしなかったものの、中国を念頭に置いているもようだ。

米鉄鋼最大手USスチールのマリオ・ロンギ最高経営責任者(CEO)は20日、「今回の大統領令は米国の経済や軍事だけでなく、鉄鋼業界の重要性を理解してもらっていることを明確に示すものだ」と歓迎の意向を示した。今回の措置が市況改善につながるとの見方などから、20日のUSスチール株は7%高、鉄鋼大手ニューコアが5%高となった。

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