英、EU残留派が巻き返し 一部調査で支持53%に上昇
【ロンドン=篠崎健太】英国の欧州連合(EU)離脱の是非を巡る世論調査で、残留派の巻き返しが続いている。英紙デイリー・テレグラフが20日発表した最新の調査では残留支持が53%と離脱(46%)を7ポイント上回った。前週は離脱の方が多かったが逆転した。ただ離脱がやや優勢とする別の調査結果も出ており、23日に迫った国民投票の行方はなお見通せない。
英国ではEU残留を呼びかけていたジョー・コックス下院議員が殺害された16日の事件後、残留派の復調を示す調査結果が相次いできた。デイリー・テレグラフは調査期間を示していないが今週初にかけて行われたもよう。前週は離脱が49%、残留が48%だった。
キャメロン首相が先頭に立つEU残留派は経済への悪影響を説く。対する離脱派は主権の回復を訴えるが、前週には英国独立党(UKIP)による難民の行列を写した運動ポスターに「差別的」との批判が起きた。過激な排外主義への懸念が離脱派の勢いをそいでいる可能性もある。
それでも国民投票を巡る世論はなお二分したままだ。世論調査会社ユーガブが20日発表した最新の調査結果(17~19日実施)では残留が42%、離脱が44%と拮抗。前回の16~17日調査は残留が1ポイントリードしていたが、離脱が再び上回った。有権者の約1割が態度を決めかねているとされ、国民投票の結果は予断を許さない。