アフガン大統領にガニ氏選出 「私たちの取り組みが始まる」

2014/9/22付
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【ニューデリー=岩城聡】アフガニスタンの選挙管理委員会は21日、アシュラフ・ガニ元財務相(65)が大統領に選出されたと発表した。決選投票を争ったアブドラ・アブドラ元外相(54)は新設の「行政長官」に就任する。発表に先立ち、両者は首都カブールで「挙国一致政府」の枠組みを定めた合意文書に署名した。互いの役割分担は明確ではなく、政権の安定が当面の課題となる。

大統領選の第1回の投票から5カ月を経て、新大統領がようやく決まった。選挙管理委員会は得票数などは公表せずにガニ氏の勝利を宣言した。同時にアブドラ氏の行政長官への就任も発表した。両氏は9月末にも正式に就任する見通し。

ガニ氏は21日夜、ツイッターで「豊かなアフガニスタンのための私たちの取り組みは今日から始まる」などと述べた。

ガニ氏とアブドラ氏の合意によると、大統領は内閣のトップとして閣議を率いる一方、行政長官は内閣の一員として閣議決定された政府方針の実施に責任を負う。行政長官は、2年以内に最高意思決定機関である国民大会議による憲法改正を経て、「首相職」に移行するという。

タリバン崩壊から13年間「新生アフガンの顔」として統治してきたカルザイ大統領の後任を選ぶ今回の大統領選では、最大民族のパシュトゥン人でインテリ層から支持を集めるガニ氏と、少数派のタジク系で、かつてタリバン政権と戦った北部同盟幹部のアブドラ氏の一騎打ちとなった。

第1回投票ではアブドラ氏に次ぐ2位だったガニ氏が決選投票で大幅に得票を伸ばし、形勢を逆転。アブドラ氏がカルザイ政権や選管幹部による不正があったと主張し、「タジク人支持者による新政権の樹立」の可能性を示し、国家分裂の危機に陥っていた。

「挙国一致政府」樹立の陰の立役者は米国だ。オバマ米大統領は7月にケリー国務長官をアフガンに派遣し、全ての票の数え直しと、敗者も新たな国造りに協力することへの同意を両候補から取り付けた。その後も権限を巡る対立は続いたが、最終的には両候補者とも米国の支持を後ろ盾に、国民の結束に向けた協調へ動いた。

米国は2014年末にまず戦闘部隊を撤退させ、16年末までにアフガンから完全に撤退する計画。選挙の混乱が続き、新大統領との間で新たな安全保障協定が締結できなければ、今年末に完全撤退を余儀なくされる。米国は、イスラム武装勢力タリバンが再び増長し、アフガンが「イラク化」する事態を恐れ、選挙の混乱収拾に注力した。

政権を早期に安定させ、治安維持に取り組むことがガニ新大統領の最大の課題となる。ガニ氏とアブドラ氏の権力の分担は明確ではなく「当事者たちすらよく理解していない可能性がある」(外交筋)。それぞれの出身民族の思惑も入り乱れており、今後の組閣や政策決定を巡り「権力の二重構造」に陥る懸念を指摘する声もある。

国連によると昨年、タリバンとの戦闘などに巻き込まれて死傷した民間人は8600人超。アフガンは鉱物資源が豊富とされるが、現状では外国政府や企業の投資を呼び込むのは困難だ。タリバンは21日、日本経済新聞の取材に対し「これは米国によるプロジェクトだ」と強く反発した。

ガニ新政権はタリバンに影響力を持つパキスタンを通じ、和平交渉への参加を働きかける必要がある。関係が悪化するパキスタンと米国との間で、新政権は外交でも難しいかじ取りを迫られる。

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